内容説明
第二次世界大戦中に原子爆弾を誕生させたオッペンハイマー。計画成功でヒーローとなったが、広島・長崎への原爆投下後、「科学者は罪を知った」とくり返し、「私の手は血で汚れている」と震えた。巨大なエネルギーを得た一方、人類を滅亡させうる最大級の矛盾に彼は直面したのである。後に核の国際管理を構想し水爆開発に反対した彼は、赤狩りの渦中で公職から追放される。「原爆の父」と呼ばれた天才物理学者の生涯を追う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュンジュン
14
西暦がキリスト以前と以後で区切られるように、遠い未来、人類は核以前と以後で歴史を記録するのだろうか?そうなると、十字架を背負い、ゴルゴダの丘を登ったのは、彼となるだろう_オッペンハイマー。本書はコンパクトな伝記ながら、「核開発・管理に対する科学者からの提言(報告)」への考察が目立つ。なぜ水爆開発に反対したのか_核使用に反対したのではなく、破壊力がありすぎてコントロールできない水爆より、多種多様な戦術核を作れ。オッペンハイマーは科学者にして”行政官”。2022/01/18
Ex libris 毒餃子
10
オッペンハイマーの映画がやるとのことなので、読んでみる。オッペンハイマーの話よりもアメリカ原爆開発史の側面が強い。2023/07/30
大島ちかり
9
論文形式なので読みにくかった。オッペンハイマーのもう少し人間味のある葛藤を知りたかった。アメリカは今も昔も変わらない。と思う。正当性を持って爆弾を落としたら罪悪感は無さそう。2023/11/02
ZEPPELIN
8
日本への原爆投下に関して、オッペンハイマーは反対していなかったとのこと。その後、ソ連が核実験に成功し、アメリカ国内で水爆開発を求める声が高まると、今度は反対する。水爆の是非はともかく、「原爆はいいけど水爆はダメ」というオッペンハイマーよりも、「兵器にモラルなどない」という賛成派の方に説得力があったのも無理はない。IAEAというオッペンハイマーが目指したであろう機関は出来たけれど、それで安全が確保されたかといえば間違いなくノーであり、もう過去には戻れないという事実しか残らない2015/05/25
大泉宗一郎
6
ノーランの映画を鑑賞し拝読。核開発とその後の事件を辿る展開は映画と同様だが、本書の論旨はオッペンハイマー自身ではなく政治における科学者の役割を問うものである。そのためオッペンハイマーのみならず、開発に携わった科学者らや一貫して原爆開発に反対した科学者らなど、オッペンハイマーを対照化させる人物や環境・政治情勢などをつぶさに取り上げることで、彼がどのような政治バランスのなかで決断したのかを照射し、その功罪と責任を浮き彫りにしてゆく。手軽で読みやすく、映画では不鮮明だった当時の状況がかなりクリアになった。2024/06/25




