内容説明
ラサのナイトクラブで働きながら身を寄せ合って生きる四人の女性たちのしたたかな生き方と悲痛な運命を、慈悲に満ちた筆致で描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
45
最後まで読み通すと読後感は悪くないのだが、筋書きがとにかく苦手で、予めどのような話か知っていたら手に取らなかったかもしれない。ノンフィクションならともかく、女性が酷い目に合うフィクションは何のために読書をしているのか分からなくなるくらい嫌な思いをするため避けているのだ。とても良い作品だとは思う。でも途中(一章は耐えたが二章は…)で読書欲が減退したし、感想を書くのも気が重かった。シリーズ自体はこれからも楽しみにしたい。2024/04/20
ケイティ
34
チベットを代表する女性作家による、とにかくつらく切なく痛々しい物語。しかし文章や表現が美しく、著者の優しさや愛がにじんでいる大作でもあった。貧しい農村からラサに上京した4人の女性が、正規労働にありつけず、騙され流されるままにナイトクラブでの仕事に身を投じる。それぞれ事情はあれど、みんな真面目で純粋、こんなはずじゃなかったという涙を流し続けながら耐える日々。シスターフッドと謳われているが、カテゴライズなんて出来ないほどギリギリで、生きるために支え合わざるを得なかった4人の幸せをただ祈りたい。2024/05/09
hiroizm
30
ポッドキャスト課題本のため読書。チベットについて北京五輪直前の2008年の騒乱鎮圧以降情報少なく現状をよく知らなかったので、朝ドラ「おしん」のエピソードみたいな四人の少女の不遇な運命や、ヤクザっぽい傲慢不遜横柄な男たちの登場に戸惑うばかり。自治区とはいえ共産主義の国だから福祉もしっかりと思っていたが、そうでもないことにも驚いた。とはいえはかなさと優しさを湛えた自然や心情の描写に、著者の美学、日本古典にも通じるアジア的美意識を感じたのも事実。ラシャムジャに続いて現代チベット文学二作目だがなかなか面白い。2025/07/31
M H
24
ラサのナイトクラブで身を寄せ合って働く4人の女性を通して、社会構造が崩れて変容するラサ、家父長制や搾取、困窮を端正に描く。注意書きにあるように性暴力、ハラスメントの描写が辛く、積極的には読み進められなかった。版元の紹介にあるシスターフッドの物語なのは否定しないが、辛すぎて霞んでしまう。解説では、輪廻転生のような日本人とは異なると思われる価値観と作品の背景に触れられていて助かった。方便という言葉が重い。2024/12/14
フランソワーズ
23
チベットは牧歌的と思われがちなだけで、いやそれだけに”夜の蝶”に対しては偏見に満ちている。男性は無論、女性も。そしてその蔑視の中で、同じ身の上の四人の女性が、都会ラサで身を寄せって生きていく姿がなんとも悲哀に満ちていて、泣けてきました。また、日本よりも信心深い国民性なのでしょう、随所に自らの”業”という言葉が見受けられ、自らの苦しみも深すぎるその業のためと捉えています。神仏への思いが強い彼女たちにとって、せめてもの救いは信仰なのでしょう。2024/07/06




