内容説明
全寮制の名門女子校白蓉女学院で“白蓉のマリア”と謳われる女子高生・藤城泉子が消えた。事件か事故か、あるいは泉子の自由意思による失踪か。動揺に追い打ちをかけるように、泉子の実家で放火殺人が起こり、犯人と目される大学生を15歳の少年が刺傷する事件が発生。寮で同室だった鮎子は泉子を案じ、泉子の従兄の藤城薫と行方を追うのだが、薫は泉子がすべてを仕組んだと言い出して……。従兄弟、幼馴染み、ルームメイト、王子…。マリアの失踪に、やがて周囲は歪み始める。――2023年ノベル大賞〈佳作〉受賞作。失踪からはじまる青春ミステリー!
目次
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
第六章
第七章
終章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
26
全寮制の名門女子校白蓉女学院で“白蓉のマリア”と謳われる女子高生・藤城泉子の失踪。寮で同室だった鮎子が泉子を案じて、彼女の従兄・藤城薫とその行方を追う青春ミステリ。泉子の失踪は事件か事故か、彼女の意思によるものか。追い打ちをかけるように発生する、泉子の実家で放火殺人が起こり、犯人と目される大学生を15歳の少年が刺傷する事件。薫とともに調べる中で明らかになる、泉子と周囲を巡るままならなかった背景や、かつて同室だった鈴との意外な関係があって、鮎子自身の複雑な想いも絡めながら辿り着いた真相が印象的な物語でした。2024/04/16
栗山いなり
6
名門女子校で皆に『マリア』として慕われていた泉子の失踪事件の真相を追うミステリー小説。マリみてを思わせる部分もある小説だが、ミステリーと言ってはみたがその実態は一種のホラーなんじゃないかとも思った2024/05/23
幸音
3
清廉潔白なマリアと謳われる泉子が全寮制の学院から失踪。狂信的な生徒達の一転した反応が恐ろしかった。泉子の行動を辿って判明していく、周囲に傷つけられた結果が辛い。ずっと続くとは思わないけれど、何も挟み込ませない確固たる世界があるんだ……。第3章冒頭で失踪事件に加えて大きな事件が羅列されて驚いた。薫が家族の異常な行動に対して疑問を抱かなかったり、泉子には自分しかいないと思っている点があまりにも純粋で歪。あと唐突な従弟と家庭教師の視点が、泉子に心酔する人達の心情なんだなぁ。読了後にプロローグの文章読むと……2025/07/05
むまもめむ
0
作者の意図とは異なるかもしれないけれど、「泉子様はこのまま永遠に変わらず、一番綺麗なときに一番綺麗なままで——」という台詞を目にしたとき、『若く美しいまま亡くなる女の子の物語』へのアンチテーゼのように感じた。彼女が身につけた物語を紡ぐ力は、若く美しいまま死んで『誰か』(登場人物や作者や読者)に所有されることへの反逆なのではないかと思う。誰かを偶像化する例は身近に溢れる。アイドル、スポーツ選手、政治家、皇族などなど。個人的には誰かを崇める感覚を非常に毛嫌いしているが、そうならないと言い切れないから厄介。
kokekko
0
2023年度ノベル大賞系の三作品を全部読んだが、これが一番面白かった。でも表紙の絵が合っていないと思う。作中で描写される「マリア」のイメージとこの絵とはいろいろな部分が違う。何でこれでOKが出たんだろう?2024/04/20