マトリョーシカのルーツを探して - 「日本起源説」の謎を追う

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マトリョーシカのルーツを探して - 「日本起源説」の謎を追う

  • 著者名:熊野谷葉子
  • 価格 ¥2,970(本体¥2,700)
  • 岩波書店(2024/04発売)
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  • ISBN:9784000248365

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内容説明

ロシア土産として世界中で親しまれているマトリョーシカ.その誕生は19世紀末と意外に新しい.アイデア源の一つに日本の木製入れ子人形がある,との説が知られているが,果たしてそれは本当なのか? 木とともに生きてきたロシアと日本の人々の暮らし,木工芸の歴史をひもときながら,マトリョーシカ誕生を巡る謎を追う.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

目次

口絵
プロローグ マトリョーシカ誕生をめぐる謎
1 マトリョーシカのルーツは日本の入れ子七福神?
2 マトリョーシカ日本起源説の起源
3 マーモントフ夫人とは
4 木工ろくろ師ズヴョーズドチキンと画家マリューチン
5 マトリョーシカ誕生をめぐる諸説
第I部 ロシア篇──マトリョーシカ誕生をめぐって
第一章 「おもちゃ博物館」とその収蔵品
1 おもちゃ博物館について
2 《雄鶏を抱いた娘》
3 《日本の老人》
4 《小さな顔付き物入れ》とその他の木地玩具
コラム1 ロシアの主な樹木と材
第二章 ポレーノヴォのマトリョーシカ
1 「子どもの教育」の商品カタログ
2 ワシーリー・ポレーノフ記念文化財保護博物館
3 《子豚を抱いた娘》と《袋を持つお婆さん》
4 《トルコ人小像》
コラム2 トルストイの折鶴
第三章 アブラムツェヴォの木工工房
1 アブラムツェヴォとは
2 ロシア様式の建造物──工房・蒸し風呂小屋・教会
3 民具の蒐集と研究
4 木工工房とその製品
5 アブラムツェヴォの世紀末とその後
コラム3 民家とその装飾
第四章 「子どもの教育」のマトリョーシカ
1 マーモントフ夫妻と「子どもの教育」
2 マリヤの手紙に見る「マトリョーシカ」
3 木工ろくろ師ズヴョーズドチキン
コラム4 木工民具と手工業
第五章 マリューチン絵付け説をめぐって
1 セルゲイ・マリューチンの生涯と画業
2 マリューチンの児童書挿絵
3 マリューチンとマトリョーシカ
コラム5 木造教会と木造宮殿
第六章 パリへ行ったマトリョーシカ
1 一九〇〇年パリ万博とロシア
2 パリ万博にマトリョーシカを探せ
3 マトリョーシカはメダルをもらったか?
4 モスクワ県会玩具工房とマトリョーシカ
5 資本家たちの夢のあと
第II部 日本篇──入れ子七福神を探して
第七章 奈良の百万塔をめぐって
1 日本の「挽物」
2 百万塔とは
3 百万塔を作った人々
4 慶應義塾の百万塔陀羅尼二基
第八章 山に生きる木地師の世界
1 木地師と呼ばれる人々
2 木地師の仕事と暮らし──『奥会津の木地師』より
3 木地師のネットワークと伝説
第九章 箱根細工と入れ子七福神
1 早川の木工
2 箱根山中の挽物
3 「新工夫の細工もの」──入れ子の木製卵
4 箱根細工を作った人々
5 明治初期の箱根細工
6 一人挽きろくろと入れ子七福神
第一〇章 海を渡る七福神
1 横浜・箱根と外国人
2 ニコライ日記に見るロシア人
3 箱根の道と塔之沢の正教会
4 輸出された七福神
5 明治から大正へ
エピローグ マトリョーシカと七福神
1 入れ子七福神と三福神──道上コレクションが語るもの(一)
2 多様な入れ子木地玩具──道上コレクションが語るもの(二)
3 《小さな顔付き物入れ》の正体
4 箱根七福神最後の工人たち
引用・参照文献
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

61
【マトリョーシカの「日本の入れ子七福神」起源説は本当か?】『うらはぐさ風土記』で、この説を知り――。専門がロシア民俗学の大学教授が、ロシアと日本の民衆木工芸の歴史と文化に分け入りながら、マトリョーシカ誕生にまつわる謎を追った書。冒頭にカラー口絵8頁(中には、トルストイが折った折鶴まで)がある他、図版多数。巻末に引用・参照文献。<日本で入れ子七福神が生産・販売されていたのは明治初期(1870年代)から大正時代(1920年代)にかけてであり、特に明治30年代(1900年代)までが最盛期だったと思われる>と。⇒2024/08/24

雪紫

51
流石に硝子細工でマトリョーシカは出て来ない・・・って、マトリョーシカの歴史、意外と新しかった!マトリョーシカ、日本の入れ子七福神元ネタ説を、当時の文化やマトリョーシカに書かれた絵について説明しつつ、脱線したかと思いきやマトリョーシカにいつの間にか戻っていく。脱線に見えて実はがっつり書いてる?しかし、絵が可愛いな。2023/11/03

Nobuko Hashimoto

31
「マトリョーシカは日本の入れ子細工が起源だった」説を検証した本。検証の方法やわかったことが調査のプロセスに沿って易しい言葉で説明されているので楽しく読み進めた。結論を言えば「まだわからない」ということになるが、それでもここまでにわかったことや周辺情報だけでも充分興味深い。本題とは少しずれるが、日本に赴任していたニコライ大主教の日記に、大津事件のときロシア皇太子が手当てを受けた家をロシア人が買い取ろうと相談を持ちかけたという記録があるとのこと。面白い~。大主教日記、見てみよう!2024/01/27

takao

4
ふむ2023/12/01

月音

3
「マトリョーシカのルーツは、日本の木地玩具“入れ子七福神”」なのか?不明な点が多いマトリョーシカの考案者・製作者とされる人物とその関係者、活動の足跡を丹念にたどり、合わせてロシア・日本の木工芸の歴史、近代に入ってからの産業振興、貿易、観光事業による普及にも着目する。民衆の手になる生活用具が芸術品として認知される過程に、柳宗悦らによる民藝運動が想起された。マトリョーシカの製作工房は子供の本・玩具を取り扱っており、ラッキーアイテムと説明されたであろう入れ子七福神を子供が日常手にし、⇒続2023/11/21

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