内容説明
甥は11歳の夏に“事件”を起こした。6年後、両親を亡くした彼を引き取ることに。悪魔のような少年から家族を守り切れるのか……
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あたびー
38
大学教授のギルは姉夫婦の死により孤児になった甥を引き取ることに気が進まない。彼が幼少時より深刻な問題児だったから。 甥は見違えるように成長し周囲を魅了するが、ギルは疑いの目を向け続ける。 ヤバい甥を疑うヤバい叔父。三人称を用いながら、ギル以外の人物の心象を挟まないため事実上の一人称で物語は進む。 ギルのやり方がかなり破茶滅茶なので、読者はイライラハラハラしながら読み進めることになる。 甥マシューは疑惑と誤解の線上で危うい綱渡りをしているようにも見える。 あなたはどっちを信じる?
か
30
根性悪だった甥のマシューが子供の頃にしたあることで姉と疎遠になっていたギルは、ニューヨークに住む姉夫婦が交通事故で死亡し、17歳のマシューを引き取ることになる。すっかり大人になり礼儀正しく、ギルの家族にも親切だが信用しきれず、本性は最悪だと思っている自分が狭量なのか犠牲者だと感じ疑心暗鬼になっていく。過去パートでお金持ちの姉への嫉み僻みが酷かった。家族が危ないと追い込まれていく心理スリラー。パニック障害が再発したのか違うのか、マシューが邪悪なのか。よくある感じだけど一気読みだったのでまあまあだった。2024/05/01
練りようかん
11
甥を引き取ることになった男性主人公。彼にとって甥は小さな大人で、何かを恐れている様子。その根拠が気になる序盤、悪意と残虐性が確定する中盤とスリラーがじわじわ迫ってきて、とっても楽しかった。特に大学教員の主人公がひらく創作講座が特長的。姉夫婦の死を主人公にだけわかる創作で挑発してくるのがたまらない。ナブコフ好きを公言する甥が視点人物の主人公をも信頼できない語り手に見せて、こっちの方がヤバイ奴の可能性もあると思えてくるのが面白かった。両親よりも主人公似だよ、きっと。泥沼ゲームが終わらなそうな後味が好みだった。2024/10/05
そら
4
両親を亡くした17歳の甥マシューを引き取ったギル。マシューを不審に思うギルは本性を暴こうとするも。 よくあるパターンで、よくあるオチ。意外性はないです。主人公ギルに魅力がなく、不快だったかな〜2025/04/24
とし
2
本作の好き嫌いはギルの心情に寄り添えるか否かで決まると思う。そしてもし作者がそれを望んでいるなら、全編を彼の一人称視点で書かれるべきだったとも思う。 残念ながら寄り添えなかった者にとって彼は最後までただの偏執者にしか見えず、甥が秘めるであろう残虐性や小説としてのサスペンス性が感じ取れなかった。2024/11/13