内容説明
生家を離れ、単身武家への奉公に出た奥女中。家柄に関係なく器量次第で出世できた彼女たちの働きぶりやキャリア形成、老後の待遇はいかなるものであったのか。儀礼の差配、親族大名との交際・文通、将軍家への使者など、奥向から大名家の存続を支えた職務に注目。年功を積み上げ生涯をかけて職をまっとうした奥女中の姿に、働くことの意味を問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
116
武家の女性は家の都合で嫁がされた婚家に一生尽くして終わり、働いて自立するなど論外とのイメージだが、例外が奥女中として奉公に出る道だった。大名家では主君とその家族の世話をするだけでなく、家中の行事や他家との交際も担う執事役の奥女中が求められるようになる。仙台の伊達家の事例を中心に有能で信頼できる女性を確保すべく労働条件や昇進が改善され、給与や福祉制度も整えられるプロセスを描き出す。親の介護や老後の面倒を見るシステムも成立し、高齢まで働いて家を興すのも認められるとは、現代の一般職女性より優遇されているようだ。2023/04/22
yyrn
27
先に書いた感想を読み返すと、これじゃあ、この本の面白さが全然伝わらないなと猛反省し、書き改めます。▼この本は一般向けにわかりやすく項目を立てて、江戸時代の「奥女中」とは、どのような仕事を担ったのかを教えてくれる本です。下働きの下女から、殿様の代理として「御城使」となって江戸城に登城したり、幕府や他大名との「表向き」の交渉に先立ち(嫁にもらいたいとか、嫁に出したいとか)「奥向き」の腹の探り合いを任されたり、まさにピンからキリまでの仕事のうち、主にピンのキャリアウーマン的な仕事ぶりを紹介してくれる本ですが、⇒2023/06/07
yyrn
23
なるほど、家柄で役職や昇進がほぼ固定されていた男(役人)と異なり、奥女中は家を離れてその身ひとつで奉公するので、昇進は出自よりも当人の意欲と実力、さらには身に付けた仕事能力で評価されたらしい。そのため「奥奉公出世双六」なるモノも出回って女性たちは玉の輿を夢見ていたとか。▼当書では伊達藩を例に「御はした」から始まって「局(つぼね)」よりも上位の「御中臈(おちゅうろう)」まで19職階もあったことや、それぞれの仕事も解説してくれるが、勤続40年以上の者もあったようで、そんなに長くひとつ屋根の下で暮らしていたら⇒2023/06/06
bapaksejahtera
13
外様大名伊達家を中心に、江戸期の奥女中の世界を描く。武力統治が終焉し、政治が専ら事務官僚に委ねられる時代が到来する。行政が私領域と公領域の区別のない前近代。将軍家や他大名との外交では、後戻りの効かぬ男子官僚の決定の前に、奥女中同士の非公式交渉の重要性が増す。任用以来時には死ぬ迄長く雇用される奥女中も多く、様々な出身階級からなる彼女らの中には、はしたからキャリアを始め、高位に至る者もあり、男子にはありえない成功を収める場合もある。幼少からの奥女中との情緒的な繋がりは、当主の心情に強く響き、その処遇に影響する2025/06/30
アメヲトコ
9
2023年3月刊。タイトルからは江戸城大奥の話を想像しましたが、仙台伊達家の奥女中を対象として、その組織や職務内容、ライフステージなどを丁寧に解説した一冊でした。奥女中は嫁いできた正妻とともに実家から送り込まれる場合が多く、その正妻が亡くなるとどっと実家に引き上げてしまうというのはなかなか出入りが多くて大変そうで、それだけに経験豊富な奥女中は80歳過ぎてようやく引退が認められたとか。男性の武士とは違い原則は一代限りの奉公とのことですが、養子に名跡を継がせて家を興した女性もいたとの指摘も興味深いです。2024/01/20
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