再生 西鉄バスジャック事件からの編み直しの物語

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再生 西鉄バスジャック事件からの編み直しの物語

  • 著者名:山口由美子
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 岩波書店(2024/04発売)
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  • ISBN:9784000616386

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内容説明

2000年5月3日,佐賀駅から福岡天神行きの西鉄高速バスが17歳の少年にバスジャックされ1人が死亡,2人が負傷した.事件に遭遇した山口由美子さんは重症を負い,恩人を喪った.その後,山口さんを子どもたちの居場所をつくる活動に邁進させた原動力は? 穏やかな筆致が胸に迫る当事者ノンフィクションの書き下ろし.

目次


第1章 事件のこと
1 バスの中
2 リハビリの日々
3 カウンセリングを受ける
4 「居場所」のヴィジョン
第2章 塚本先生と私
1 塚本達子先生との出会い
2 塚本先生の「幼児室」
3 塚本先生の子どもへのまなざし
4 塚本先生との信頼関係
第3章 事件の後の変化
1 子どもが持つ、育つ力
2 「少年」の両親
3 人前で話す
4 「修復的司法」という言葉は知らずに
5 塚本先生の本
6 「少年」の両親と3度目に会う
7 事件から一年の頃

第4章 関係の波打ち際
1 不登校の子を持つ「親の会」から始まる
2 娘の「居場所」探しの頃
第5章 子どもたちの「居場所」ができていく
1 「親の会」からの提案
2 「なんもしてもらわんでよか」
3 子どもが観察する側にも
4 ケンジくんのタバコ
5 「道具」が必要なわけ
6 居場所の引っ越し
第6章 「親」「大人」のありかたとは?
1 28歳で反抗期 
2 低学年のマサコちゃん
3 「親の会」のやくそくごと
4 2回目の引っ越し
5 次男にさとされる

第7章 被害者の視点、加害者の視点
1 少年刑務所で話す
2 シャイなカズオくんのその後
3 ハッピービバークの別邸の始まり
第8章 「少年」と出会い直す
1 京都医療少年院からの打診
2 渡辺位先生を迎えて
3 少年との面会
4 「ハッピービバーク」は治療の場ではない
5 2回目、3回目の「少年」との面会
6 「少年」の出院
7 「修復的司法」とは
第9章 事件から10年
1 「少年」への手紙
2 ときどきペースダウン
3 親の心を子どもは敏感に感じる
4 「ただ聴く」ということ
おわりに──幾つもの波をこえて
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

145
17歳の少年が3人を殺傷した西鉄バスジャック事件は、神戸連続児童殺傷と共に社会に衝撃を与えた。著者はこの時恩人を殺され自らも重傷を負う被害を受けたが、娘の不登校に悩んだ経験から一方的に少年を憎悪できなかったという。その後、不登校児を支援して居場所を提供する活動を続けてきた。そして元少年と直接会って謝罪を受け、犯罪の加害者と被害者の間に横たわる深い谷間に橋を架けたのだ。辛い経験を自らの成長に役立てて「罪を犯した少年が一人でも変わるなら」と少年刑務所で講話をする姿は、同じ立場に置かれたら真似できる自信はない。2024/10/07

読特

42
佐賀駅を発ったバスが高速に入る。立ち上がった少年。包丁を振りかざす。華奢な体つき。切迫感はない。指示に従わない乗客が切りつけられる。初めて本気であるとわかる。…「幼児室」の先生は亡くなられた。集中治療室に入った著者は回復する。少年を犯行に及ばせたものは何だろうか?殺人者にしたくなかった。自身の娘は登校拒否だった。そんな生徒のための”居場所”を運営する。…子供たちと向き合う。加害少年とも対話する。見えてきたものがある。気づかせねばならぬことがある。産まれなければよかった人間などいない、まだ生きていくのだと。2025/04/16

kawa

38
著者は、西鉄バスジャック事件(2000年)で17歳の少年に切りつけられ、重傷を負った山口由美子さん。彼女は事件後、登校拒否の子供たちの居場所となる施設を運営。利用者の気持ちに徹底して寄り添うことをモットーとする実践を自らリポートする。そんな彼女の徹底した姿勢が、本書終盤の加害者少年との三度にわたる対面として集約実現したように見える。相手に徹底して寄り添う。言葉としては簡単なのだが、ついついそこに自分のエゴを紛れ込ませがち。そういう意味でとても考えさせられる作品。恩讐を超えて一隅を照らす素晴らしい方だ。2024/08/08

ばんだねいっぺい

29
新聞記事ではない事件の当事者としての飾らない記述が刺さってくる。本文にもあるように「非日常」ではあるが 「日常」として体験されたのだと理解できる。加害者の青年とのバスの中で対峙の記述に、筆者のただものではない優しいまなざしがあり、それが、広がっていくことが「再生」として描かれている。誰にもできることではないと尊敬の念を持った。2024/06/23

みゆき

22
私には合わないので半分で終わり。中盤から「不登校の子どもたちの居場所作り」の話になり、やや冗長。著者は、2000年5月西鉄バスジャック事件被害者の山口由美子さん。一緒に乗っていた恩師が殺害され、山口さんは瀕死の重傷を負った。著者の根底にあるものは「罪を憎んで人を憎まず」なんだろう。犯人の少年を擁護する意味が分からない。死刑賛成派の私には全く理解できない世界だった。とはいえ、山口さんは素晴らしい人格を持った方だと思います。2024/10/02

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