内容説明
米崎地検の検事・佐方貞人の事務官をつとめる増田陽二。高校時代の柔道部の恩師の告別式で、旧友の伊達と再会した増田は、同じく同級生の木戸とその夜旧交を温める。増田にとって、伊達は柔道をやめずに済んだ恩人であり、ヒーローだった。だが、大阪で警察官になったという伊達には、ある秘密があった……。(「ヒーロー」)
〈佐方貞人〉シリーズスピンオフ作品をはじめ多ジャンル作を集めた、著者初のオムニバス短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
86
昔の大人は時代劇が好きでした。差別用語だらけ、残酷なシーンをテレビで子供の私も普通に見て育ちました。瞽女(ごぜ)が登場する短編があります。目が不自由で農家で使い物にならず、人買いに売られる女子が生きるための数少ない選択肢が三味線を覚え、旅芸人としてさすらう人生です。見えないため数々の身の危険があります。夜は着物の帯で腿を縛り付け股が開かぬよう用心して眠る。生きるすべは三味線だけ。魂の籠る音が人々の心を打ちます。福祉など存在しない時代に重いハンデを背負った少女の言葉が、奉公先で弱音を吐く少年を勇気づけます。2024/06/26
小説を最初に書いた人にありがとう
65
大好きな作家の柚月裕子さんの短編集。思いの外のイヤミスあり、時代物あり、ブラックユーモアあり、そして柚月作品と言えばの佐方貞人のスピンオフありと盛りだくさんで楽しめた。心に印象深く残ったのは瞽女と言われる盲目の旅芸人の話。目に障害があり、家が貧しい為、幼くして旅芸人に売られる女の子が強く生きていく姿に感涙。どの話も味わい深く読了。2024/05/31
カブ
44
佐方貞人シリーズスピンオフ作品に惹かれて手に取る。その作品はもちろん、様々なジャンルの短編集で面白かった。興味深かったのは、瞽女の物語「泣き虫の鈴」だった。また、「原稿取り」も何となく想像できたけど面白い。 2024/05/03
10$の恋
42
今や「飛ぶ鳥も落とす勢い」の柚月裕子さんの作品足跡とも言うべきか_。正直、各話面白いものの、そのあまりにも種々多彩な文章の雰囲気に「?」マークが頭に浮かんだ。なぜか分かった!解説を読んで大納得。この短篇集は、世に出る前の初期作品などを自ら集めたもの。柚月裕子さんの執筆の成長を体感できる11話からなる短篇集だ。思い遣る母子の意趣返し、女旅芸人の悲哀、太平洋戦争時の人間ドラマ…もあれば、「おそ松くん一家」登場のギャグサプライズ、そして最後を締めくくるはさすがの貫禄「佐方貞人」。ますます楽しみな作家さんやよ!2024/06/28
坂城 弥生
40
ちょっと(?)毒のある短編集。2024/05/27
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