内容説明
子どもの不適応行動として不登校を例にとると,不登校児はいじめや成績不振などの先行刺激を回避し,居心地のいい家にいることによる不安の軽減や安全確保という利益(強化)を得て不登校が長期化する。その解決には,個々の不登校にはどのように「回避・強化機制」が働いているかを分析し,学校復帰に向けた行動変容を促すアプローチを適用しなければならない。
本書は,行動療法の歴史と理論背景を解説したうえで,心や行動の問題に適切に対処するための機能分析の方法とさまざまな行動療法の技法を紹介し,抜毛症や場面緘黙,強迫症といった子どもにみられる15の疾患や問題行動について豊富な事例とともにその見立てと臨床アプローチの実際を示す。
子どもの心の臨床を目指す学生や心理専門職,また学校や幼稚園・保育園の先生,さらには子どもの問題行動に悩む保護者の方などにも参考となるテキストブック。
目次
はしがき――園田順一
校訂者序文――境 泉洋
第1章 新世代の行動療法
1.行動療法の概念
2.行動療法の特徴
第2章 行動療法の歴史
1.歴史的先駆者たち
2.第1世代の行動療法:実験的研究と人への応用
3.第2世代の行動療法:認知療法,認知行動療法
4.第3世代の行動療法:文脈的行動科学に基づく心理療法
第3章 行動療法の基礎理論
1.学習とは何か
2.古典的条件づけ
3.オペラント条件づけ
4.モデリング学習
5.言語と認知の学習理論
第4章 行動療法と機能分析
1.機能分析とは
2.標的行動と治療目標
3.標的行動(問題行動)の発生
4.問題行動の持続
5.問題行動変容の技法
第5章 行動療法の技法
1.心理教育
2.刺激制御法
3.強化撤去法,消去
4.正の強化法
5.負の強化法
6.シェイピング法
7.行動連鎖法
8.トークンエコノミー法とレスポンスコスト法
9.行動契約法
10.モデリング法
11.社会的スキル訓練
12.潜在条件づけ法
13.タイムアウト法
14.嫌悪療法
15.過剰修正法
16.習慣逆転法
17.エクスポージャー法
18.問題解決療法
19.うつ病に対する行動活性化療法
20.ペアレントトレーニング
21.バイオフイードバック法
第6章 行動療法よる臨床
1.抜毛症
2.遺尿症
3.遺糞症
4.不登校
5.場面緘黙
6.強迫症
7.慢性疼痛
8.心因性視力障害
9.食行動症(外食恐怖)
10.神経性食思不振症
11.ガソリン吸入依存症
12.恐怖症
13.かんしゃく
14.指しゃぶり
15.家庭内暴力
16.引っ込み思案
17.乗り物酔い
18.吃音
校訂者あとがき――前田直樹
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