内容説明
女4人で272歳。終の棲家に立退き迫る!
私たち、まだまだ人生諦めませんから!
東洋文化大学の学生である速水翔太は、風変わりなアルバイトをしている。自称料理研究家の奥村歌子さんを始めとした女性三人のシェアハウスの秘書、要するに小間使いだ。私立女子校時代の同級生である68歳の三人から無理難題を押しつけられてもバイトを辞められないのは、歌子さんによる賄い(お酒付き)が美味しすぎるから。そこに新たな同居人・緑川恒子さんがやってくる。彼女は認知症の初期で、帰り道が分からなくなることもしばしばで…。さらに歌子さん所有のシェアハウスにも売却の危機が迫っていた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
itica
76
小学校からの付き合いの同級生、68歳の賢女?4人のシェアハウス。資産家のひとりのテントハウスでの優雅な老後にはちょっと憧れる。秘書と言う名目の雑用係にスカウトされた大学生とその彼女も加わって、美味しい料理に明け暮れる楽しい暮らし。益々良いじゃないか。が、それで終わる訳もなく、危機が待ち受けていた。いやあ、熟女パワーを見せて貰ったな。すっきりした読み心地。 2024/06/02
ぶんこ
59
私立の小学校からの友人4人が一緒に暮らすシェアハウス。料理家の歌子の持ち家マンションでの生活は、ゆとりがあって皆68歳とは思えないほどお元気。しかし歌子の息子の借金返済でマンションを開け渡すことに。そこから同居の3人がお金を用意したりと奮闘。秘書兼雑用係の大学生翔太と、翔太のカノジョの美果も登場してシェアハウスは楽しそう。翔太はいいように使われているようで、貴重な人生経験をしているのではと思った。厳しい就活で、流行りのIT企業ではなく垂水食品加工を選んだのがその結果でしょうか。年配者と若者、いいですね。2024/10/21
アルピニア
55
小学校以来の女友達4人。還暦を過ぎ、立場も様々な彼女たちが共に暮らす。女友達ならではの痛烈な一言や心憎いフォローに肯きながら読む。何だかシニアの気持ちがごく自然に描かれているなと思ったら、作者は69歳で小説家デビュー。これが2作目だそうだ。不穏な出来事もあるけれど、美味しそうなお料理が絶妙なアクセントになっている。さらにオバさんとは異次元に生きている大学生目線の突っ込みがまた現実との距離を感じさせて上手いなぁとニンマリ。私も老後に一緒に暮らせたら良いなと思う仲間がいる。実現したい気持ちが益々強くなった。2024/08/26
Karl Heintz Schneider
55
閑静な住宅街を抜け、坂を上り切ったところにあるカーサ・ベラ・ビスタの6階はワンフロアになっており、小学校時代からずっと一緒の68歳の女性4人が暮らしている。4人は年齢なりにそれぞれ悩みもある。家族・仕事・病気そして恋。非現実的な夢を追いかける仲間に対して時には現実的な厳しい言葉を浴びせることも。それで喧嘩になることもしばしばあるがそういう時は他の誰かが取りなす。ワインを飲んでおいしいものを食べれば何事もなかったように仲直りする。彼女たちはため込まずに言いたいことを言い合えるから共同生活が成立するんだろう。2024/06/17
sayuri
48
小学校時代からの同級生、歌子・ 厚子・瑞恵。彼女達はマンション『カーサ・ベラ・ビスタ』の最上階で共に生活する。68歳の女性3人が暮らすシェアハウスに秘書としてやって来た大学生の速水翔太。そこに新たに初期の認知症と診断された恒子も加わり悲喜こもごもの日々が始まる。再就職に苦労したり、ロマンス詐欺に引っ掛かったり、老いらくの恋をしたりと彼女達の毎日は平穏無事とは言い難い。ギスギスした雰囲気になる時もあれど、歩み寄り助け合う姿が胸を打つ。翔太と翔太の彼女・美果の存在も良い。人と人との繋がりに心が温かくなる一冊。2024/05/12