文庫 雑草と日本人:植物・農・自然から見た日本文化

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文庫 雑草と日本人:植物・農・自然から見た日本文化

  • 著者名:稲垣栄洋
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 草思社(2024/04発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794227171

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内容説明

雑草は踏まれても踏まれても立ち上がらない。けれども──
「しなやかで強い日本人」を育んだ背景を探る。

雨が多く高温多湿な日本では、農作物がよく育つ一方、
雑草の繁殖も著しく、先人たちは常に草取りに励まねばならなかった。
また、自然や生き物の豊かさは時に脅威ともなり、
豪雨、洪水などの自然災害や害虫被害をもたらしてきた。
古来、日本人は豊かな自然とどう向き合ってきたのか? 
その歴史から日本人固有の心性を浮き彫りにするユニークな日本文化論。

<目次より>
第一章 植物にも仏性を感じてきた日本人
 西洋と日本でこれほど違う「雑草観」
 イネ科植物の進化と文明
 日本の自然には神が宿る 恵みと脅威の源泉
 日本人固有の「自然」意識
 日本の無数の生き物たちと田んぼ
 仏教の殺生思想と日本人の生命観

第二章 農と自然が育んだ日本人気質
 世界の農地荒廃と日本の田んぼのすごさ
 日本と西洋の「植物分類学」の違い
 雑草を悪とみる西洋人、雑草を活かす日本人
 日本の豊かな自然と「引き算の文化」
 草取りと日本人の人生観
 稲作・自然災害と、日本人の協調性
 日本の豊かな植物と日本人の「新しもの」好き
 せっかちで辛抱強い日本人を生んだ背景

第三章 雑草のように、しなやかに
 雑草が持つ「弱さという強さ」
 逆境こそ雑草の生きる道
 雑草の「戦わない戦略」
 雑草にとって「変化」は最大の好機
 しなやかな強さで生きていく

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Sakie

16
何もなかった地面に雨が降った後、凄まじい数の雑草が芽吹き始めた。日本は温暖湿潤であるため雑草がよく繁茂する。だからこそうまくつきあってきたはずだ。作物の生育の邪魔になる雑草を除去する必要がある点は違いない。「雑草が少しある」状態は保つのが難しいから徹底的に取る。長じて『田んぼばかりか家の周囲や庭を草のない状態に保っていることが美徳であり、雑草が生えた状態になっていると、まるで怠け者であるかのように思われてしまう』。他方で草を田畑に鋤き込む肥料として活用するためともある。それもそうだがそれだけか。2024/06/12

檸檬の木

12
田んぼの雑草も泥に埋め込めば、イネの肥やしになる。田の草取りは、イネに肥料をやる作業でもあった。雑草は厄介な邪魔者という概念は、明治の近代化により日本にもたらされたのであり、鎖国時代であっても豊富な植物で衣食住を賄っていた。豊かな自然と生き物に恵まれ雨が多く高温多湿で農作物がよく育つ一方で、草取りに励み、自然災害の脅威と向き合いながら知恵を振り絞り古代から生き延びてきた控えめながらも逞しさを持った先人たち。同じ日本人として誇りに感じた一冊であった。2024/05/21

流石全次郎

8
雑草生態学が専門の農学博士の著書。序盤は期待して読み始めた。国内の雑草と農業について掘り下げられた内容を期待していたけど、雑草と共に育まれた我が国の風土はこんなに素晴らしいという内容だった。文章は断定的で想像の幅を許さない文体。読み切ったけれど総合的に自分にはあまりあわなかった。2024/11/16

氷柱

3
1110作目。9月15日から。中盤以降、作者の意見のオンパレードであり、「これ、読む意味あるか?」という疑問が常に湧いて出てきた。同作者の他の作品はもう少ししっかりした作りだったはずだったのにな。とは言え、日本人の性格と雑草との付き合いが作品を通じて述べられているので意見のひとつとして留めておく分には良いかもしれない。2024/09/23

すうさん

1
この本は「雑草学」の稲垣栄洋さんの日本人学である。益にならないもの、役に立たないもの、つまり本流ではない「雑」植物を学ぶことは、じつは日本という国や日本人の思考や自然崇拝や仏教を通した死生観まで解説できる。「雑」という視点から本流とは違う観点で見ると、それは「雑」ではなくむしろ生きるのびるために工夫してきた「生命のしなやかさや強さ」だと理解できる。変化を生きる糧として、戦わずして生き延びる力をつけてきたのが「雑草」であり、日本人の生きてきた道なのである。現代人に勇気と希望と与えてくれる素晴らしい本である。2024/05/06

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