内容説明
ある医大が入試の採点過程で女子の点数を意図的に下げている――衝撃的な「噂」を耳にした新聞記者の檜葉菊乃は独自の調査を始め、理事の神林晴海に目をつける。巧みに追及を躱す神林だが、突破口はそこしかないと考え、檜葉は何度も攻め立てる。男性優位の社会で、共に無数の理不尽に直面してきた二人。それでも敵対せざるをえない彼女たちの闘いの行方は……。話題作、問題作を絶えず放つ著者が挑む、社会にはびこる差別の根源。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
184
この答えはどこにあるのだろう。現状と理想の狭間に生きる私達に今作でもまた月村作家は剣先を突き付けて来る。こんな事件があったのはつい数年前だったはず・・本作の始まりは地検が裏口入学の捜査に端を発する。そこから新聞記者・檜葉菊乃と医大理事・神林晴海の『対決』が始まるのだが、本質は大学や新聞社、この社会全体に蔓延る性差・ハラスメントなのだ。今や『○○ハラ』抜きで会話や関係を築くことの新しい局面を迎えているのかもしれないなぁ(私の心の声)とは言え、それで不合格になった受験生は救われない。学びの場こそ平等でと願う。2024/05/29
しんたろー
143
実際にあった医大入試の女子受験生一律減点事件をモチーフに新聞記者・檜葉菊乃と医大理事・神林晴海、二人の視点で描く社会派作品。性差別や様々なハラスメントに対する考察が主役二人によって語られるが、男性作家とは思えないほど女性の心情を汲み取った意見で、今まで気が付かなかった点も多くて色々と考えさせられた(女性がどう思うか知りたい)。事件の背景を知らなかったので、医療現場の実態を知れたし、菊乃と晴海の「対決」がサスペンス感をもたらしていてグイグイ読ませるのも著者の真骨頂。菊乃チームの結束も物語に厚みを加えていた。2024/07/08
hiace9000
140
某医大をはじめとした、女子受験生への不正採点問題という実在のニュース。そこに切り込み問う社会派月村小説。出るわ出るわの胸糞悪い男どもの女性蔑視発言。それに抗するかのように、燃え上がる二人の女の対抗心。同じ理不尽と辛酸を舐め続けたが故の、強い信念と理想は火花を散らしぶつかり合う。二人は敵ではない。だか敵対せざるを得ないその真実とはー。「人と人とは本来分かり合えない」という前提に立たねば男女や立場その他諸々の溝は埋めようもない。矛盾や葛藤の解決を示すのではなく、対決の過程と現場に臨場し考えさせる作品である。2024/06/12
のぶ
139
女性への差別問題を通して、社会問題を炙り出してゆく作品で、面白く楽しむ事ができた。主人公は新聞記者の檜葉菊乃。政治家の息子を裏口入学させていた統和医大。その調査の過程で、女子と多浪人の受験生の点数を、意図的に下げていた事を菊乃は掴む。男女差別問題を当事者としての女性の立場と、無頓着に差別を押し付ける男たちの当たり前に、セクハラ、パワハラの中で生きてきた記者の檜葉と病院理事の神林は、共感しながらもお互いの立場から対決しなければならなくなる。正義と本音の前で悩む女性の姿が、良く描かれていた。2024/06/25
ひさか
134
ジャーロ88号(2023年5月)〜91号(2023年11月)掲載のものを2024年4月光文社刊。端緒、第一の対決、第二の対決、最後の対決、の4つの章で構成。新聞社司法担当と大学理事で活躍する2人の女性の生きざまを中心に描いてある。偏見、旧体質、等々、女性には、これほど多くの障壁があるのかと思う中での2人の振る舞いに驚嘆します。ラストでの2人の目指す方向にただただ圧倒されました。2024/06/21
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