内容説明
ある嵐の晩、資産家男性が自宅で命を落とす。死因は愛車のエンジンの不完全燃焼による一酸化炭素中毒。
容疑者として浮かんだ被害者の甥、日高英之の自白で事件は解決に向かうと思われたが、それは15年前の殺人事件に端を発する壮大な復讐劇の始まりだった。
警察・検察、15 年前の事件の弁護も担当した本郷、事件調査を請け負う垂水、恋人の千春......。それぞれの思惑が絡み合い、事件は意外な方向に二転三転していく。稀代のストーリーテラーが満を持して放つ、これぞ現代日本のリアルホラー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
388
貴志 祐介は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、冤罪二世法廷ミステリ復讐譚でした。帯にリアルホラーと書かれていたので、ミステリからホラーに転生するのかと思いきや、ミステリのまま想定内で終了しました。最期にサプライズがあれば、もっと好かったですが、今年のBEST20&ミステリBEST10候補、久々読書に没頭し、電車を乗り過ごしそうな勢いでした🐰🐇 続編もありそうな気配です。 https://mainichibooks.com/books/novel-critic/post-660.html2024/03/12
はにこ
275
父が冤罪により獄死してからのち、自らも冤罪に問われる。一度は自白させられたのにどんどん覆していく手腕がすごかった。状況証拠を覆して、検察を追い詰めていくのが迫力満点。父の冤罪を晴らすために病的に突き進むのが薄気味悪かった。でも検察官側が追い詰められていくのがちょっとスカッともした。2024/03/31
stobe1904
248
【リーガルミステリ】リストラで会社をクビになった垂木はふとして縁で弁護士が担当している事件の調査を始めることになったが、警察と検察の強引な取り調べ末の自白である疑念が高まる…。息詰まるような法廷シーンも圧巻だが、それに加えて最後のヒネリに背筋が凍りつくようなインパクトを受ける。捜査を効率的に行うためには事件の見立て(仮説)も必要だとは思うが、それが思い込みとなり強引に自白を迫る冤罪の恐ろしさと復讐の思いの強さがとても印象的だった。★★★★★2024/04/26
hirokun
193
星5 私の大好きな分野である法廷小説。500ページ弱の長編であるが、途中で休憩することなく一気に読み終え、その感想が、とにかく面白かった。冕罪で獄死を遂げた父の汚名をそそぐため、奮闘する主人公たちの企てと、法廷における検察と弁護人のやり取り、緊張感が伝わってくるような作品だった。また、最後に明らかになる事件の真相も、途中から少しずつ匂わせるものの、やはり驚くストーリー展開。2024/04/02
タックン
167
冤罪をテーマにしたリーガル・サスペンス。約500ページもあるが、本の厚さと長さを感じないくらいに先が気になって一気に読んだ。 とにかく題名が秀逸すぎる。父の冤罪の無念を晴らすべく、自ら被告人・ウサギになる英之の胸中と狂気が凄い。恋人の千春と本郷弁護士の生きざまも常軌を逸していてて驚く。 終わり方だと父の冤罪の真相追及で続きがありそうだけど、果たして・・・? それにして今回の警察と検察は杜撰過ぎて呆れた。2024/05/08




