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内容説明
清少納言や和泉式部が仮名文学で雅な貴族の世界を描いていた裏には、暴力が支配する武士の世界があった。それは地方だけでなく、都のすぐ近くでも人が殺されるような状態だった。そして、その雅な世界は武士による収奪によって成り立っていたのだ。この凄惨な時代、拡大・縮小を繰り返しながら、源氏と平氏が武士の代表格として確立してゆく。その背景にある、血の入れ替えと相剋の過程を克明に綴る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
10
著者がちくま新書から出した『武士の起源を解き明かす』の続編。源平武士団の成立と女系の関わり、とくに藤原秀郷や藤原保昌といった「源平」と同等に成り損なった武士の系列との婚姻が、強力な武芸を生む土壌になったとする。著者は「品種改良」なんてドキツイ表現を使うが、競馬ゲームでもあるまいし、一世代の婚姻でそんなに変わるものかとも思う。まぁ妻問婚だから、妻の実家で育つことで息子の性向が変化したとしておこう。最後の鎌倉幕府についての見解もどうなんでしょ。いかにもな陰謀論っぽくもあるし…。次回作へのヒキとしては満点かな。2024/04/23
nagoyan
9
武士の棟梁といえば、何故、源平なのか?という問いに答えを与える。説得力のある議論が進む。武士として二流だった源氏が急速に暴力の専門家になれたのは何故か。貞盛以来、受領として地方に地盤を築いた平氏が、源氏に遅れをとったのは何故か。秀郷流、利仁流が棟梁になれなかったのは何故か。摂関政治の完成、院政の台頭という中央の政治動向に的確に対応できたものだけが、棟梁として生き残れた。北条氏の「大逆転」の分析は、面白い。余談だが、河内源氏の類まれなガラの悪さを読むと、頼義とか河内弁だったのかとか想像したくなる。2024/04/25