内容説明
藤原氏が外戚の地位を独占して権力を掌握したとされてきた平安時代の摂関政治。近年では、天皇制の危機を回避し、それを擁護・補完するためのものだったと見直されている。幼帝の即位など皇位継承がゆらぐなか、藤原氏はいかなる役割を果たしたのか。摂政・関白が創出された経緯や、摂関政治は本当に外戚政治なのか、その真相を探り明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
21
25頁。崇峻天皇が蘇我馬子によって暗殺されたのは、かつては天皇家を凌駕する蘇我氏の専横を示す事件の一つとして捉えられていた。しかし、これには崇峻天皇の方に問題があったとの見方も提示されている。文化人類学では、未開の王制について次のような指摘がある。王は一度その地位に即いたら、王としての権威・機能は死ぬまでその人物に付随するといい、これを「王の終身性」という。この場合、王が生きたまま他者に王位を譲ったら、王の権威・機能を有する者が複数存在してしまうことになる。したがって、不適格な王を交代させるには、2025/10/02
さとうしん
16
従来天皇の権力を抑圧するものとして否定的にとらえられがちだった摂政と関白。本書では皇室と藤原氏との関係の推移を年代順に辿ることで、実際には幼帝の即位、傍系からの即位などで皇位・皇統が不安定な状態となることが懸念された際に、外戚や廟堂の首班である藤原氏の氏長者が天皇の後見として摂政・関白となることで、皇位・皇統を安定させる役割を持っていたと結論づける。その他にも関白は摂政から派生したものであること、摂政・関白は原則として終身のものであったことなど、新たな知見が多い。2022/09/07
MUNEKAZ
12
藤原氏の摂政・関白就任について、本書は藤原氏の摂政・関白を求めた天皇側のアプローチを重視する。兄弟間の皇位継承が度々起こった9~10世紀において、両統迭立の状況を解消し、自らの直系に皇位を継がせるためには、廟堂の首班にして氏長者を兼ねる大人物の後ろ盾が必要であった。そして、そうした特別な臣下であった藤原氏の人物に与えられた役割が「摂政」と「関白」であり、摂政・関白という役職が先だってあったのではないとする。安定した皇位継承生むのが上皇の儒教的な権威に変わったとき、摂関政治が意味を失うのも納得である。2024/03/26
akiakki
9
本書では皇位継承の流れを主軸に、時折発生した兄弟継承や幼帝の即位といった危機をどう回避したかという観点で摂政・関白が誕生した経緯と、システムとして確立していく様子を記述しています。摂関制度は必要に迫られて発生した一種の称号で律令制にない役職だったというのが驚き。そのため初期は幼帝即位という、まさに摂政の出番において最もそのポジに近い者でも資格が全て揃っていないため就任が遅れるという事態も紹介されています。親戚が儒教的立ち位置を利用して権威を振るう、中国王朝の外戚のようなイメージがガラリと変わります。2026/03/06
紫草
8
私が中学とか高校で習った日本史では、藤原氏って悪者で、それはなぜかって言うと臣下のくせに大きな権力を持って天皇より偉そうにしてたっていうことで、子どもの私は単純に「藤原氏悪いやつだな」って思ってたけど、よく考えたら天皇親政が正しいとは限らないわけで。摂政とか関白とかの形で天皇が有力者の後見を得ることが、天皇にとってもありがたいことだったし、1人の権力者が独裁してたわけではなくて、だいたい公卿たちの総意だったことがよくわかった。あとただ家柄がいいだけじゃなく て役人としてちゃんと優秀。2023/01/25
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