内容説明
江戸時代、淀川・大和川水系は河川災害の多発地域だった。もろい地質に加え、新田畑の開発や肥料用の草柴採取が土砂流出に輪をかけていたため、春と秋に奉行衆が巡回し、地元の村々に土砂留め工事を厳しく命じた。日誌や御触書、絵図資料から、山地荒廃の実態や土木工事の内容、奉行の権限を解明し、自然災害と人間社会の関係を、歴史のなかで考える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
100
山国で急流河川の多い日本では、治山治水こそ内政の要だった。特に江戸時代までは薪木や肥飼料採取のため禿げ山や草山が多く、土砂流出の原因となっていた。小規模領地に分かれ広域的な水害防止策が不可能な近畿地方では、他ではあり得ない領主権に介入する土砂留め奉行職が設けられ機能していたとは。おかげで最低限の防水は実現したが植林や伐採禁止で獣害や燃料不足が起きたり、工法の問題で毎年の修繕コストが嵩み現地負担費用で揉めたりもした。奉行の現地視察が実質的な物見遊山になるなど、今日の公共事業にもつながる諸問題が透けて見える。2022/07/09
アメヲトコ
10
2022年6月刊。近世の淀川・大和川水系での山林荒廃にともなう砂防対策として設けられた「土砂留め奉行」の実態に迫った一冊です。近世の近畿は諸領主の領域が錯綜した地域でしたが、河川災害は当然所領の境界を超えて発生するため、この土砂留め奉行制度は個別の領主権に依拠する「領・村」型の統治と、超領域的な「郡・村」型統治を融合したものであったという指摘は面白い。実際の現場の絵図なども興味深いですが、今の地形図と重ね合わせて分析するともっと理解が深まったのではとも。2023/05/02
PETE
6
大名領の飛地や旗本・公家・寺社領が入り乱れる畿内に成立した、担当大名が領地の境界を越えて砂防を促進させ、巡検していく制度を、資料を基に実例を確かめて行くユニークな一書。技術の限界、村の近くだけ工事して上流の小さな流れを防がなかった弱点、公儀による経費負担の貧弱さ、この辺りに問題があったようだ。2022/07/05
Go Extreme
2
https://claude.ai/public/artifacts/68c54473-895b-439f-b036-2de16b6ab280 2025/07/02
Go Extreme
2
土砂留め奉行と出会う―プロローグ 奉行の日記・庄屋の日記: 土砂留め奉行の廻村日記 庄屋の日記 高槻藩の土砂留め奉行 土砂留め制度: 制度の始まり 前史と制度の特色 土砂留めと領主権 はげ山・土砂留めの景観: はげ山と草山 近江国栗太郡の土砂留め 土砂留め場絵図 課題と献言: 郡山藩の下役文書から 土砂留めと村・百姓 効果と献言 改革の諸相:下付金・入札・国役 幕府役人の巡見と改革 町奉行所の土砂留め 「土砂留め」から「砂防」へ―エピローグ2022/07/02
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