ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 11の物語

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ハヤカワ・ミステリ文庫
11の物語

  • ISBN:9784151759512

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内容説明

たまたま台所にあったボウルに入っていた食用かたつむりを目にしたのがきっかけだった。彼らの優雅かつなまめかしい振る舞いに魅せられたノッパート氏は、書斎でかたつむり飼育に励む。妻や友人たちの不評をよそに、かたつむりたちは次々と産卵し、その数を増やしてゆくが……中年男の風変わりな趣味を描く「かたつむり観察者」をはじめ、著者のデビュー作である「ヒロイン」など、11篇を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アナーキー靴下

80
想像を絶するとのかたつむりレビューに惹かれ読む。悪夢のような11の短編集だが、いずれも傑作揃い。かたつむり、は確かにその破壊力たるや…なのだが、他の収録作品は心理描写に重点が置かれているものが多い。何度も繰り返す激しいアップダウン、キラキラと輝くような多幸感に満たされたと思うと、唯一無二の安寧であるかのような暗く深い淵に沈み込む。無性に泣けてくる。飲み込まれるくらいなら、何もかも全て、飲み込み返してやる。しかしそれは達成されるべきでない願いだ。かたつむりの交尾のように濃密で秘めやかな暴力の応酬なのだから。2022/11/18

藤月はな(灯れ松明の火)

49
「すっぽん」は既読。「愛の叫び」の互いに相手を貶めながらも付き合う同性間の関係はスパークの作品のような毒を湛え、「ヒロイン」の母が精神を病んで亡くなってしまったことを気にかけながらももっと人に信頼してもらうために火を着ける主人公に『ロウフィールド館の惨劇』と鏡合せのような印象を受けました。「モビールに艦隊が入港したとき」は遣る瀬無い。「もう一つの橋」と「からっぽの巣箱」には回想や期待に込められた人間の醜いエゴが後々に影のように付き纏うという予兆にぞっとします。2014/01/24

あたびー

42
読書会のために再読。「カタツムリ観察者」部屋いっぱいに増えたカタツムリがシャンデリアからかたまりになって垂れ下がったり、窓敷居にぎっしりくっついて窓が開けられないとか、もう人間が想像出来る範囲を超絶しとります。「すっぽん」の少年は別にすっぽんの敵討ちをした訳ではないと思った。母親が押し付ける服装や何かのせいで友達からバカにされている立場を、すっぽんを見せびらかして挽回しようと思ったのに、それが出来なくなってしまったことへの恨みなのでは。「モビールに艦隊が入稿したとき」ほんとに最悪のラスト。2022/07/13

♪mi★ki♪

34
短編集は久々。特別捻りが効いているわけではないけれど、精神的に気持悪いイヤな話が11編。作者が思い入れがあるのか何故か大小でんでん虫絡みの話が2つ。大きいでんでん虫は怪獣モノみたいなので大丈夫。余裕。が、初っ端の小さいでんでん虫の話は、生理的に無理!!うぎゃ〜。(((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブルさてと、サイゼリヤ行くか。www2017/03/20

あたびー

33
皆が病んでいて、皆が苛まれている11の短編集。「厭だなあ」と思いながら、先を読み進まずにはいられない。自分が想像したより酷い事が起きるかもしれないから(そして概ね起きる)。「かたつむり観察者」それほどの繁殖力を目にして尚…「恋盗人」自分の彼女が返事をくれないからって他人のラブレターを…「すっぽん」みんなのトラウマ。こんなお母さんは嫌だ。「モビールに艦隊が入港したとき」冒頭夫殺しに始まり、妻の過去は徐々に明らかに。しかし結末はあなたが考えるよりもっと厭。(続く)2020/03/24

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