内容説明
図書館の非正規職員をしているゆたきが出会ったのは、「ブルックナー団」を名乗るオタク3人組、ユキ・タケ・ポン。オタサーの姫のような扱いを邪険にあしらうゆたきだったが、タケが自筆する「ブルックナー伝(未完)」の意外な面白さに引き込まれていく。ブルックナーは19世紀ウィーンを代表する作曲家でありながら、元祖非モテの変人だった! ダサいオタクの生き様が、夢を諦めた中年女に勇気を与える、サクサク読めるクラシック音楽オタ小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
taku
12
作中の「ブルックナー伝」を書きたかったわけね。人間性は変わりもの奇癖おじでも大作曲家。ネガティブ感情を誘発する面や、曲が苦手な人はこういう所だろうを示しながらも、これは作者のブル活だ。もう少し団員にフォーカスしていいと思う。ブル伝と補足情報提供の装置的な役割が強いかな。ブルオタの嘆きやマニアな会話をするのは面白い。運根鈍だね。鈍と根のある奴は強い。これを機に交響曲をちゃんと聴いてみると、作中で言われてることがわかったよ。2025/07/25
ろべると
11
不思議な小説だ。そもそもブルックナーなどという、コアなクラシック音楽愛好家しか知らない名前で、しかも「ブルックナー団」とは?やはり内容はブルックナー好きのオタクの若者たちと、なぜかこの作曲家が好きな女性の交流である。そして作曲家の逸話をかなりの分量で織り交ぜている。世に認められず辛酸を舐めた不遇の作曲家に、現代の悩める若者を交錯させているのだが、同じく40歳になって文壇に出た著者の思いもシンクロしているのだろう。それにしても、これだけディープな題材で、しかも文庫にもなっているとは、つくづく不可思議である。2024/07/26
qoop
8
野暮な非モテ音楽としてのブルックナーを愛する/洗練されたリア充音楽に引け目を感じる愛好家集団・ブルックナー団はブルックナーの不器用さに共感し、彼らに理解を示しつつ同時に嫌悪感を覚える主人公は、ブルックナーの音楽と伝記から不遇を託ちながら意志を貫く強さを学び取る。同じ音楽を愛する両者の間には相容れない断絶があるものの、同時に価値を共有してもいる。本作は彼らの齟齬を柔らかく包み込むように展開し、主人公の未来への展望を示して終わるが、本作の後でブルックナー団たちも変わるのか否か。2024/04/21
ひでお
7
ブルックナーを聴いたことがあれば、ニヤリとしそうな作品。ブルックナー好きのやりとりと、その登場人物の書いたという設定のブルックナーの伝記が挿入される、ブルックナーマニアのための作品です。個人的にはブルックナーの、特に交響曲は、いい作品だと思いますが、それでもあのしつこさが感覚に合わないためあまり聴きません。この本にもでてきますが、熱く語る人が多いので、ちょっと疲れます2024/07/18
Hanna
6
ブルックナーの人となりをこの本を通して知った。ちょっとドン引き。。。それから聴衆側としては、コンサートでは男子トイレの方が列をなす一例があるほど、男性ウケして女性からは敬遠されるとのこと。う、うーん。。。2025/05/09
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