講談社文庫<br> 人でなしの櫻

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講談社文庫
人でなしの櫻

  • 著者名:遠田潤子【著】
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 講談社(2024/04発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065351390

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内容説明

『銀花の蔵』『雪の鉄樹』『オブリヴィオン』の著者が放つ、人間の業の極限に挑んだ、衝撃の問題作。


しがない日本画家の竹井清秀は、
妻子を同時に喪ってから生きた人間を描けず、「死体画家」と揶揄されていた。

ある晩、急な電話に駆けつけると、長らく絶縁したままの天才料理人の父、康則の遺体があり、
全裸で震える少女、蓮子がいた。
十一年にわたり父が密かに匿っていたのだ。
激しい嫌悪を覚える一方で、どうしようもなく蓮子に惹かれていく。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

相田うえお

77
★★★★☆24121【人でなしの櫻 (遠田 潤子さん)】いや〜いつもながら強烈なインパクトのある作品でした。登場するどの人物も常識の枠からはみでた様な異端な人物ばかり。その突出した行動は普通の物差しでは測れません。日本画家の男性(主人公)は母親に殺されかけた過去があり、また、父親を嫌って一人暮らしをしています。その父親が死亡したとのことで行ってみると父親は少女を監禁していた事実が判明。当時8歳だった少女は19歳になっていて、なんと11年も監禁状態。アブノーマルな独特の雰囲気。当方の心は粉砕されました。2024/12/08

エドワード

32
日本画家の竹井清秀は、カリスマ料理人の父・康則に作品を認められず、音信不通だった。そこへ緊急事態、駆けつけると、康則の死体と、裸の少女がいた。少女・蓮子は8歳の時に康則に誘拐され、11年間監禁されていた。何とも異常な事件だ。しかし、今度は清秀が蓮子に魅入られ、二人で日本海に面した家で逃亡生活を送る。清秀は病魔に侵されながら、ひたすら蓮子を描き続ける。芥川龍之介の「地獄変」に通じる、驚くべき画家の執念。蓮子の無垢さがかえって不気味でもある。清秀の死後、彼の個展が開かれ大盛況とは何たる皮肉だろうか。2025/04/11

APIRU

9
人でなしの少女と人でなしの画家の、美しく醜く、狂気染みていてそして果敢ない物語であったと思います。亡父が11年間監禁していた裸の少女を、男は拐かし、番い、世間の目を逃れながら、憑かれたように彼女の絵を描いてゆく。堕落と頽落。恋慕とも畏怖とも忌避とも慈悲とも違うような、或いはその全てでもあるような、歪で純粋な結びつきに思えました。およそシンパシーを覚えるような二人ではなかったのですが、容易く同調できないからこその「人でなし」であると言えるのでしょう。現れる人たちはみな、少なからず人でなしに映ったものでした。2024/05/22

マキ

6
なかなかの衝撃作。遠田作品は好きなんだけど、この本にはイチミリも共感できない。でも、恐ろしい執念だけは痛いほど伝わる。清秀は、父親への憎しみだけで、櫻図を描ききったのか。それは、康則が執拗なまでに息子を憎む執念と重なる。 とにかく、心が重くなるラスト。2025/08/17

MIHO

5
父子の話で櫻図がモチーフなので、長谷川父子になぞらえた何かが出てくるのかなと思いながら読んでたがそうでもなかった。そしてあれはストックホルムと言うよりはグルーミングでは⁉︎と言いつつ読み応えはありました。腥いって漢字知らなかった。2024/04/28

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