講談社学術文庫<br> 日本仏教再入門

個数:1
紙書籍版価格
¥1,496
  • 電子書籍
  • Reader

講談社学術文庫
日本仏教再入門

  • ISBN:9784065299586

ファイル: /

内容説明

昨今、仏教研究は進展を見せ、従来の常識は大きく書き換えられつつある。
「日本仏教」とは何かから説き起こし、古代から中世の仏教の思想と歴史の流れを、聖徳太子・空海・法然・親鸞・道元・日蓮などをキーに解き明かしていきます。
そして、明治維新以降、西洋の文明に触れて大きな変貌を遂げた日本仏教が、日本の近代社会の中で果たしてきた役割を改めて問い直します。廃仏毀釈に始まり、日清・日露戦争を経て、大正デモクラシー、日中戦争から第二次世界対戦を経験する中で、仏教は重要な位置を占めています。戦後復興、そして大震災などに対して、実践としての仏教があらためて登場しつつある現状の意味を問うていきます。
また、日本仏教の深層にある思想的、歴史的な背景を読み解いていきます。葬式仏教にどのような意味があり、どのような思想を背景にしているのか。日本仏教のおおきな特色となっている「大乗仏教」の起源を探ります。また神と仏の関係を、中世の神仏習合に遡って、読み解き、仏教が日本の思想や哲学に与えた影響を検証していきます。
本書を読めば、日本仏教の思想と歴史の概観と肝要なポイントがすべてわかる、格好の入門書です。

*本書は、『日本仏教を捉え直す』(放送大学教育振興会)を底本に、大幅な加筆(第二章 1最澄の生涯と思想)と改稿をし、改題しました。

【目次】
はじめに 「日本仏教」という問題
第一章 仏教の展開と日本 序説
第二章 仏教伝来と聖徳太子 日本仏教の思想1
第三章 空海と最澄 日本仏教の思想2(頼住光子)
第四章 法然・親鸞と浄土信仰 日本仏教の思想3
第五章 道元と禅思想 日本仏教の思想4
第六章 日蓮と法華思想 日本仏教の思想5
第七章 廃仏毀釈からの出発 近代の仏教1
第八章 近代仏教の形成 近代の仏教2
第九章 グローバル化する仏教 近代の仏教3
第十章 社会活動する仏教 近代の仏教4
第十一章 日本仏教と戒律 日本仏教の深層1
第十二章 葬式仏教 日本仏教の深層2
第十三章 神仏の関係 日本仏教の深層3
第十四章 見えざる世界 日本仏教の深層4
第十五章 日本仏教の可能性 まとめ
学術文庫版あとがき

目次

はじめに 「日本仏教」という問題(末木文美士)
第一章 仏教の展開と日本 序説(末木文美士)
1 仏教の諸形態
2 東アジアの中の日本仏教
第二章 仏教伝来と聖徳太子 日本仏教の思想1(頼住光子)
1 仏教を考える視点
2 仏教の伝来と受容
3 聖徳太子と「十七条憲法」
第三章 空海 日本仏教の思想2(頼住光子)
1 空海の生涯
2 空海の思想
第四章 法然・親鸞と浄土信仰 日本仏教の思想3(頼住光子)
1 鎌倉時代に新たに起こった仏教の特徴
2 法然の生涯と思想
3 親鸞の生涯と思想
第五章 道元と禅思想 日本仏教の思想4(頼住光子)
1 道元の生涯
2 『正法眼蔵』に見られる道元の思想
第六章 日蓮と法華思想 日本仏教の思想5(頼住光子)
1 国家と仏教
2 日蓮の生涯と思想
第七章 廃仏毀釈からの出発 近代の仏教1(大谷栄一)
1 「近代仏教」とは何か?
2 廃仏毀釈と教導職
3 近代日本の祭政教関係の制度化
第八章 近代仏教の形成 近代の仏教2(大谷栄一)
1 仏教の近代化を考える
2 明治二〇年代の仏教改革をめぐる構造
3 日清・日露戦間期における近代仏教の形成
第九章 グローバル化する仏教 近代の仏教3(大谷栄一)
1 グローバル化の始まり
2 明治二〇年代初頭の「欧米仏教」ブーム
3 シカゴ万国宗教会議への参加
第十章 社会活動する仏教 近代の仏教4(大谷栄一)
1 社会活動の二つのパターン
2 大正期における仏教社会事業と参政権運動
3 昭和前期から戦後、現代へ
第十一章 日本仏教と戒律 日本仏教の深層1(末木文美士)
1 僧侶の妻帯
2 大乗戒の採用
3 戒の変貌
第十二章 葬式仏教 日本仏教の深層2(末木文美士)
1 近代の葬式仏教
2 仏教の死生観と廻向の原理
3 往生と成仏
第十三章 神仏の関係 日本仏教の深層3(末木文美士)
1 近代の神仏関係
2 神仏習合の形成
3 神道の形成と仏教
第十四章 見えざる世界 日本仏教の深層4(末木文美士)
1 顕と冥の世界
2 諸思想の交流と仏教
3 近代の中の死者と仏教
第十五章 日本仏教の可能性 まとめ(頼住光子・大谷栄一・末木文美士)
1 仏教思想の観点から(頼住光子)
2 近代仏教の観点から(大谷栄一)
3 仏教土着の観点から(末木文美士)
学術文庫版あとがき(末木文美士)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

greeneggs

3
仏教について、日本仏教について、神道との関わりなど身近になんとなく慣例に従ってやってきたことを体系的に説明してもらえた。「グローバル化したZENが本来の禅とは異なったもの」「神道は慶事に関わり、仏教は凶事に関わるという分業の定着」「宗教という言葉のニュアンスが実際の日本人の持つ宗教性を適切に反映していない」年末年始を前に興味深く読めた。2024/12/10

かずい

3
日本に6世紀に仏教が朝鮮半島から入ってきて、現代に至までの日本仏教の存在役割をわかりやすく解説している。神道と仏教が日本で共存できた理由として、慶事の神道、凶事の仏教と棲み分けができ、家の仏教、共同体の神道が生活に定着した。法華経主義の日蓮宗が国家主義的仏教の色彩が強くなった理由がわかり、戦前の軍国主義でも軍人に支持があったのがわかる。仏教というのは、葬式仏教のイメージが強いが、本来はいかに生きるかという生の哲学であるが、同時に死の哲学としても評価を考えると著者は締めている。2024/06/02

くり坊

1
もともとは放送大学のテキストだったものが、タイトルも改まって、講談社学術文庫に収録されたもの。わたしのように、仏教と云えば中村元経由の原始仏教しか知らない者にとっては「日本仏教」は知の空白地帯なので、これを埋めにかかららにゃあかんと前から思っていたが、よい本に巡り合わなかった。この本は入門の、さらに一歩手前といった感じで、今のわたしにとってはちょうどよかった。これから、本書の著者が書いた別の本も読み進めてみて、もう少し「日本仏教」についての見識を深めたいと思っています。2025/04/01

さな

1
放送大学の印刷教材を改版したもので、元の授業「日本仏教を捉え直す」はラジオ授業で聴いていた。今回授業が閉講になって代わりに改版が出ると聞いて読んでみることにした。 なんとなく付き合ってきている仏教について、3人の専門家が網羅的にその歴史や日本文化に与えている影響について述べており、かなり細かい記述もある。一方で3人で執筆しているので少し内容がかぶるところもある。親鸞について書かれた章は難解。葬式仏教や神道と関わりについての内容は大いに参考になった。2024/12/04

飯田橋

0
日本人にとって仏教は切っても切れない存在。だからこそこの本を読むべきなのだと。仏教は倫理学や社会学や歴史学など様々なアプローチができて面白い。2025/05/09

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21874319
  • ご注意事項

最近チェックした商品