内容説明
もしもあなたが当せんしたことをどうしても秘密にしておきたいのなら、だれにも話すべきではありません。(『【その日】から読む本』第二部・第5章) 小都市の書店員、古川ミチルは、ほんの出来心から不倫相手を追って上京。所持金が底を突くころ、出発前に“ついでのお使い”で買った宝くじが高額当選する。逃避行は一転、立て続けに起こる災厄に翻弄され続け……。秘密と嘘に追い詰められた末、ミチルを待ち受けていた運命は!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
nemuro
49
既読は『月の満ち欠け』にて直木賞受賞の直後「紀伊國屋書店札幌本店」の“佐藤正午コーナー”で買った『夏の情婦』(2017年9月読了)に始まり『女について』(2018年3月読了)、“しりとり読書”75冊目・『永遠の1/2』(2022年7月読了)の3冊。巻末に「2009年7月 光文社刊」。「文庫新装版3カ月連続刊行」第2弾の本書。「私」によって淡々と語られ、これは単なる“身の上話”なのかの戸惑いも。そこからの予期せぬ展開と緊迫の逃走劇。終盤、「私」の判明(登場)が絶妙。なんなんだ、この読後感。秀逸なるミステリ。2024/09/29
白ねこ師匠
30
[★★★]海沿いの街の地味な書店員ミチルは、昼休みに仕事着のまま、衝動的に不倫相手に付いて東京へ飛ぶ。途中で購入した宝くじが高額当選し大金を手にしたが、その後次々とひどい出来事が起こる。少々長すぎでは…。前半は面白かったが中盤以降少し飽きてしまい高倉さんや竹井のイカれた行動、ミチルの不注意ぶりにだんだん腹が立ってきて楽しめなくなった。それでも読み切れたのは、最後まで明かされない語り手による、静かで不穏な空気漂う巧みな語り口に引き込まれていたせい。お見事。最後の語り手の秘密には「そ、そう来るか」と横転した2025/12/30
Masa
7
人間ってそんなにすぐに人を殺せる?高倉も竹井も香月も。 散々ミチルの身に起きた不幸(元はと言えばミチル本人の行動に責任はあるが)を語った挙句、オチは最後に登場した香月の暗い過去だなんて。 それにしてもミチルって、単にワガママで無責任な子供そのもの。同情の余地はないね。2024/06/28
pitch
6
見た目もパッとしない、あまり頭も良くない平凡な女の、驚くべき身の上話。淡々とした語り口なのに、展開の予想が全くつかず、ぐいぐい読み進んだ。なかなか登場しない語り手がついに登場する、後半の展開も見事。やはり佐藤正午は巧い。2025/09/27
ponnnakano
5
何度目かの再読となるので話は全部わかっているのですが、今回もとても面白かった。最初に読んだとき。2億円の宝くじが当たることだけ知っていて、その結果人間関係がおかしくなる悲喜こもごもみたいな話だと勝手に思い込んで読んでいたら突然の展開で衝撃を受けたのを何度も思い出す。当然再読ではその衝撃はないがそれでも面白いのは流石です。また読みたい。新装版のあとがきの編集者が、最近読んでとてもよかったロングラン連載の「熟柿」の担当者だったので興味深く読んだ。ぜひ定年延長して、早めにあと2作刊行していただきたいと思います。2025/07/13




