四ツ山鬼談

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四ツ山鬼談

  • 著者名:嗣人【著】
  • 価格 ¥1,650(本体¥1,500)
  • 竹書房(2024/03発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784801939264

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内容説明

「これを、漆喰に混ぜて塗れ」
依頼主から左官に渡されたのは小さな白磁の壺。
仕事は「ある家」の外壁の塗り直し。
「家の中には入ってはならん」
何が見えても聞こえても。

熊本県荒尾市。かつての炭鉱と競馬場と干潟の町。
雨が降れば、土地に染み付いた念が湿った煤の匂いとともに立ち昇る。
町のそこかしこに潜み、たたずみ、彷徨う黒い人。
「夜行堂奇譚」の著者が故郷を舞台に描く、奇怪な幻燈のごとき怪異譚。

これは、鬼の話である――。


・「囁く家」
 漆喰の塗り直しを頼まれた左官。そこは入った者の命をとる死霊憑きの家
・「ひそむ鬼」
 離れの床下には鬼がいる…鬼の写真を撮ることにとり憑かれた伯父の家の秘密
・「箪笥の煤」
 抽斗を開けた者は肺を病んで死ぬ。祖母が弔う祟りの桐箪笥の由来
・「ヤマから響く声」
 亡き叔母の日記。そこに綴られたのは庭の井戸と黒い人に纏わる恐怖の記録

――ほか11の忌み話

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちょろこ

110
怖い、だけとは言えない一冊。熊本県荒尾市。炭鉱の歴史が眠る地に彷徨う"黒い人"にまつわる怪異譚。まえがきから惹きこまれ、一話目からけっこうゾクっときた。著者が取材を元に書き綴ったという11の怪異。"黒い人"の背負った歴史を知ると、怖いだけじゃ終わらない、どこかせつなさを感じずにはいられなかった。全身は真っ黒、目だけが白い姿となって、ただ知って欲しい、この地でどんな歴史が刻まれ哀しみが埋もれているのかを知って欲しい、その念の強さが伝わってきたからかな。情景描写もあとがきも良かった。何もない土地なんて、ない。2024/04/27

yukaring

75
何も足さない、何も引かない。ありのままの事実を淡々と語る語り口が妙に味のある怪談集。「仮に、○○さんとしておく」というフレーズから入る構成もとてもテンポよく読みやすい。著者の出身地である熊本県荒尾市。かつて炭鉱で栄えた町には真っ黒な人がいる。雨の日には土地に染み付いた念が黒い人となって彷徨う、そんな日常を地元の人々は「業のない場所などない」と淡々と受け入れるその静かな諦念にはゾッとさせられる。庭の井戸と黒い人に纏わる恐怖の記録『ヤマから響く声』ほか鬼の話11話。果たして本当の鬼とは誰のことなのだろうか?2024/04/26

ポチ

37
煤の匂いが漂えば、全身煤まみれの黒い何かがやって来る。今は当時の面影もない炭坑跡地、何があったのか…。2024/04/26

カッパ

10
どの話も炭鉱の町の悲しい歴史と結びついた怪異の話だと思った。解決方法はどの話もしめされず、やり過ごすことしかできないのかもしれません。2024/04/24

金色

4
そこそこ怖くて楽しめた。 炭坑の霊って怖いけど、小野不由美さんの残穢で相当怖い思いをしたから耐性ついたよ。 好きな作家さんなので次回作も楽しみにしてます。2024/04/27

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