文春e-book<br> ハコウマに乗って

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文春e-book
ハコウマに乗って

  • 著者名:西川美和【著】
  • 価格 ¥1,900(本体¥1,728)
  • 文藝春秋(2024/04発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163918259

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内容説明

映画監督の毎日は、平凡で、ドラマチック(ときどき爆笑)
血の味がしたランニング、幻のオリンピック・チケット、宣伝地獄からの東京脱出、替え玉受験疑惑……。
数々の賞に輝く映画監督が初めて明かす等身大の素顔

「またオリンピックか。困るんだ、こうしょっちゅうやられては」
にもかかわらず、始まってしまえば猫にマタタビ。手に汗握り、自律神経が狂うほど興奮し、夜中に全ての中継が終わった頃にはぐったりして机に向かう気力も失っている。「勇気を与えられた」はずなのに、いま目の当たりにしたアスリートの万分の一も頑張らずに寝る。お前はバカか、と自分でも思う。(本文より)

西川美和さんといえば、作品を発表する度に国内外で大きな話題と高い評価を得る人気映画監督です。また同時に、小説作品も直木賞候補に選ばれるなど、映画業界という枠を超え、文筆の世界でも名文家として知られています。
これまでも映画にまつわるエッセイ集などを多く刊行されている西川さんですが、本書はスポーツや時事問題など、映画から離れたテーマも数多く、第一線で活躍する映画監督の日常を綴ったものとして、これまでのエッセイ作品とはひと味もふた味も違った表情を見せています。
自身のランニング体験や青春時代の思い出をユーモラスに綴ったかと思えば、コロナ禍でのオリンピックやウクライナでの戦争、ハラスメント問題などに、日常ボケした私たちの心をひと刺しします。西川美和さんってこんなにチャーミングで、こんなに日々の問題に誠実なの!? と驚くことうけあいです。たとえば一日の終わりに一篇ずつ、名エッセイと映画監督の意外な素顔に浸ってみてはいかがでしょうか?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

pohcho

57
「Number」と「文藝春秋」の連載エッセイ。「Number」の方は東京オリンピックを区切りにするはずだったが、延期になり開催前に連載を終了された。まえがきにそのあたりの事情が書かれていて、誠実な人だなあと。そして、最近よく雨に降られるせいか、雨の話が印象的だった。黒澤監督の「素晴らしき日曜日」は是非見てみたい。何でもCGでできると言いながら、雨垂れ一つ一つを1/24秒の一コマずつ丁寧に消して、雨の日を晴れにするのもすごい。労働環境改善、ハラスメント教育、AIなど今時の業界事情も興味深く読んだ。2024/04/25

konoha

56
映画監督の西川さんのエッセイが大好き。1人の生活者としての等身大の感情、ユーモア、映画への愛情が伝わってくる。「Number」に連載された「遠きにありて」は趣味のスポーツ観戦が執筆のきっかけ。ランニングの話は「西川さんも!」とうれしくなる。文藝春秋に連載された「ハコウマに乗って」では世界で取り残された日本の映画界を憂い、労働条件やハラスメントの問題についても触れる。スポーツのように熱と根性で乗り切れた時代の良さも、現代のしなやかさも知る西川さん。その背中を追える後輩たちは幸せだと思う。2024/06/19

竹園和明

44
スポーツ雑誌『Number』と『文藝春秋』に寄稿したエッセイ集。『Number』への寄稿文は、コロナ禍で競技が中止となった時期のアスリートへの想いやスポーツ観戦を愛するご自身の葛藤が書かれ、『文藝春秋』の方は映画監督として役者やスタッフを束ねるご苦労に加えて今回はご自身の事が結構面白おかしく書かれていてファンとしては嬉しい。スポーツもコロナ禍も映画に対しても、彼女の視点は相変わらず鋭く至極真っ当。これが西川美和の素の強みだ。役所広司氏の演技とスタッフへの配慮について書いた「てんしのうた」に特に唸らされた。2024/04/14

ぐうぐう

30
映画が監督を映すように、小説も書き手を投影している。ましてや、エッセイともなれば、なおのこと。映画監督であり、小説家でもある西川美和の最新エッセイ集は、彼女の映画や小説同様、いや、それ以上に西川美和を感じられるのがいい。前半部分の『遠きにありて』は「Number」連載のスポーツにまつわるエッセイで、例えばスポーツ中継の在り方を問う回で映画『太陽を盗んだ男』のエピソードを絡める辺り、西川らしいアプローチを覚える。あるいは後半の「文藝春秋」連載の表題作エッセイでの東日本大震災当時、(つづく)2024/05/14

桜もち 太郎

28
彼女の作品は全て読んできた。ルッキズムと言われようが、彼女の顔が好みだから仕方がない。映画監督として脚本から一つの映画を創り上げるストイックさ。「生活のために仕事をするのではなく、自分の人生を生きるために仕事があるのだ」彼女の映画との向き合い方は、どんな仕事にも当てはまる。「自分の人生を生きるため」に日々の仕事をしているか、自分に問いかけたい。タバコに酒、仕事に異性、一旦始まると、けじめがつかなくなる所も魅力的だ。ハコウマとは、映画用語で高さを出すために乗る箱のこと。153センチの小柄な彼女らしい題名だ。2024/04/06

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