内容説明
このままでは、我が子を手にかけ、自分も死ぬしかない。歯科医の大澤正樹とその妻、節子は悩んでいた。長男の翔太は中学で不登校に、以後七年間引きこもり続けている。一方、一流企業に勤める姉の由依は、弟のせいで結婚できないと両親に訴える。ついに息子と向き合う決心をした正樹が知った恐ろしい真実とは――。引きこもり、家庭内暴力、不登校、いじめ……現代日本を抉(えぐ)る社会派エンタメ長編。(解説・三浦友和)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
納間田 圭
121
身に積まされる。あぁこれって…数年後の〇〇の姿かもしれない。年くった親(80歳くらい)の年金目当てに…引き篭もりの子供(50歳くらい)がべったりついている意味。親が死んだら…もうまいった。なすべもない。中年男は…長い冬眠を突然邪魔された熊のよう。生きる訓練を丸でされてない息子は…ひたすら閉じこもっているだけ。親がまだ生きている風を装い親の年金を搾取していたのがバレて逮捕された初老男の…先日のニュース。彼が引き篭もりになった…その理由。姉が厳しく逞しく…振る舞う理由。8年前のイジメに今…裁判を起こす理由2024/05/31
まこみん
63
8050問題の予備軍的な家庭。私立中学で不登校になって7年になる息子と歯科医の父親、専業主婦の母親に一流企業勤めの姉。近所で強制執行で家を追い出された引き籠もりの50歳位の男を見て愕然とする。30年後の我が身かと。この父親は息子を医者にさせたい一心で何かと家族に強権を振り母親と姉にも疎まれているが本人は気付いていない。息子の今後についても意見は食い違う。息子の引き籠もった原因はクラス内での虐めと判り今からでも裁判を起こすことに。先が気になって一気に読み進んでしまった。読後感は良かった。2024/09/02
ちゃとら
52
【図書館本】8050問題を思い出させる他の作品から、思わず手にした林真理子氏500Pは長かった。親の代から受け継いだ歯科医院。生涯年収などを考え,一人息子は医師になるように中高一貫へ。そして中2から不登校になり7年間引き篭もる。原因はいじめ、裁判へ。家庭内暴力、家庭崩壊。歯科医の父親は所詮ボンボンでイラっ💢、母親も大丈夫 ?このイライラ感に、かえってリアリティを感じたのかもしれない。三浦友和の解説が実感がこもっていてとても良かった。2024/11/23
どぶねずみ
46
近所のコミュニティがもっと活発だった時代やこんなにも競争社会が激しくならなければ、引きこもりなんて生じなかったのだろうか。見栄ばかりが大きくなって生きていると、維持できないターニングポイントにぶつかって挫折する。閉ざされた心を溶解するのも容易なことではないが、できないことはない。本書ではそれが裁判という形で決着をつけたが、親もまた見栄だけで生きていると子どもに悪影響を及ぼすのだと知った。学校という組織での課題は必要不可欠。子育て経験がないから大きなことは言えないけど、親はのびのび育てた方が良いんだな。2024/10/13
万葉語り
41
登場人物が推しと同じ名前だったので、なんか平常心で読み始められなかったのだけれど、読み進めていく間にどんどん先が知りたくなってペースを上げて読了。こんなに上手くいく家庭ばかりじゃなくても、こういう風にすればいい道筋にはなっていると思った。2025-82025/02/15