内容説明
「本をつくり、とどける」ことに真摯に向き合い続けるひとり出版社、夏葉社(なつはしゃ)。従兄の死をきっかけに会社を立ち上げたぼくは、大量生産・大量消費ではないビジネスの在り方を知る。庄野潤三小説撰集を通して出会った家族たち、装丁デザインをお願いした和田誠さん、全国の書店で働く人々。一対一の関係をつないだ先で本は「だれか」の手に届く。その原点と未来を語った、心しみいるエッセイ。(解説・津村記久子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
112
この著者の島田さんの本は書評関連を中心としていくつか読んできています。この本はご自分の出版社の「夏葉社」を立ち上げてその後にいくつかの本を出された経緯をつづられています。いい本を作ろうとする気持ちが伝わってきます。庄野潤三さんのご家族との交友や全国の書店の従業員さんとのやり取りなどでの著者の性格がよくわかります。いい本です。2025/12/27
@nk
48
そう言えばこれ、気になってたやつ。単行本を図書館で目にし、なんとなく借りたことを薄っすら覚えている。読み出すとなかなか途中で手が置けず、夜3時過ぎに表紙を閉じた初読時のことははっきりと覚えている。図書館本だったので帯が巻かれていなくて、(気になっていたものの、どんな本なのかは忘れていて)だからこそ先入観なく読んだのもあるかもしれないが、とにかくすぐ書店へ買いに行ったほどに感銘を受けた。/あれからたぶん通読したのは今回の文庫版を含め3回目。1節だけ読むとかも含めると数えきれない。図書館での記憶をかなり前に⇒2025/12/16
はっせー
44
本書は1人出版社を開業した島田潤一郎さんのエッセイである!まずエッセイを読むと感じるのは、文章が美しい!島田さんの文章を読むたびに、こんな文章がかけたらいいなぁって思う。文章でうっとりする感覚がある。それは島田さんがすごく丁寧に言葉を紡いでから。次に感じることは、出てくるエピソード1つ1つが心にフワッと優しい布で包まれるような優しいきもちになれる点!誠実に人と向き合っている島田さん。そんな島田さんだから繋がる縁や優しさが数多くあった。本書のイメージを伝えると「社会に出ていないあの頃のぼくへの手紙」2025/10/04
小太郎
40
最初は純文学拗らせ人間がしょうがなくて出版社を始める話かなと思って読んでました。作者は勿論そういう気持ちもあったことを正直に語っています。ただ実際に本を作る仕事に打ち込んでいるうちに、自分自身が変わっていく姿が書かれています。その仕事の中での色々な人に出会いそれで自分の本に対する本気度が上がっていく。読んでいて作者がこの仕事に就いて本当に良かったと感じました。根本的な所での作者の本に対する趣味の良さや誠実な気持ちが成功に繋がったんだと思えます。私の好きな作家庄野潤三さんのエピソードも素敵でした。★42024/07/12
海燕
37
本とか本屋について書かれた本を、これまでほとんど読んだことがなかったと思う。著者は15年ほど前に、夏葉社という出版社をひとりで立ち上げる。当初取り扱ったのは、古い本の復刻であったという。それも知る人ぞ知るという類の作品。あえて紙の媒体での出版にこだわり、また顔の見える客のことを考えて本を作る(著者の言い方を借りれば「具体的」な仕事)。安易に商業ベースに乗る仕事をしない。天職なのだろう。タイトルの「古く」は漢字なのに対して「あたらしい」は仮名。表記にこだわりがあるようで、その意図を考えるが分からない。2024/06/14




