内容説明
戦争の中で嘘が姉妹を繋ぐ「嘘つき姫」、電気椅子ショーに挑む魔女と技師「ニューヨークの魔女」ほか、書き下ろし2篇を含む全9篇。小説が待ち焦がれた才能、正真正銘「待望」の初作品集。
この本は、まるで鍵束だ。一つ読むたびに何かが解き放たれ、そして迷宮への扉が開く。
――岸本佐知子氏(翻訳家)
過去未来大小遠近あらゆる世界を鮮やかに的確に語りながら精緻な余白を残し、読者にその余白をこそ玩味させる。手練れの技だと思う。
――小山田浩子氏(作家)
この想像力が世界の有り様を拡張する。少し広くなった世界で、感情が、愛が息づく。
――斜線堂有紀氏(作家)
◎装幀=名和田耕平デザイン事務所(名和田耕平+小原果穂)
◎装画=はむメロン
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
なっぱaaua
56
不思議な読後感でした。著者初の単著とのこと。9編の中短編集で百合っぽい話もあればファンタジーもある。「私のつまと、私のはは」「あーちゃんはかあいそうでかあいい」「嘘つき姫」が好み。「私のつまと、私のはは」子育てが大変というただそれだけの話ではなく二人の育った環境も影響している。「あーちゃんはかあいそうでかあいい」歯の話。背中がぞくぞくする感じ。恋愛なのか不気味な何かなのか。「嘘つき姫」嘘に嘘を重ねた戦時中の話。二人はもっと幸せになれなかったか。ぞわぞわする話が多かったです。2024/05/26
オフィーリア
55
それぞれが独得の雰囲気を持つ9つの多彩な短編集。どの短編も唯一無二の世界観、淡々と描かれるその不思議な世界に読んでいて自然と惹き付けられるけれど、どこか突き放されたような寂寥感が何とも言えない余韻を残す。素敵な短編集でした。2024/06/02
ぽてち
37
読売新聞の「エンターテインメント小説月報」および「本よみうり堂」に取り上げられていた1冊。両方で紹介された本は記憶になく、絶賛に近い評価で期待は高まる。著者の坂崎さんは2020年に「リモート」で第1回かぐやSFコンテスト審査員特別賞を受賞したのを皮切りに、数々の文学賞を受賞している。本書は初の単著で9篇が収録されている。が……。うーん、つまらなくはない。さすがに。ただ、そこまで優れた作品だろうかという疑問はある。単に好みじゃないだけかもしれない。読んだ端から忘れていき、曖昧な印象しか残らなかった。残念。2024/06/04
おおにし
22
坂崎かおる3冊目。この短編集もバラエティに富んでいてどれも楽しめた。レズビアンやフェテシズムをテーマにした作品が目を引くが、私は「電信柱より」が一番良かった。電信柱に女性を感じ、電信柱に恋をする女性が登場するとんでもない話だがラストが印象深い。他には子供を持ちたいレズビアン・カップルが、VRの子育てキットでの疑似育児に翻弄される様子を描いた「私のつまと、私のはは」も好きだ。作者は写真を公表していないので、てっきり女性だと思って読んでいたが、どうも違うようで更にびっくり。2025/04/23
アイシャ
21
9つの短編。どうも私には合わなくて、上滑りに読むことになった。どうも気持ちが悪かったり、入っていけない面が多かった。2024/12/11
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