内容説明
これは「女人の哀しみ」を描いた物語――。作者の視点から名作を読み解く! 傑作長編小説〈全五巻〉 皇子二人を生んだ彰子に仕える、香子(紫式部)。彼女の書く「源氏の物語」は一条天皇も愛読するほど、宮中で影響力を持つようになる。香子は、ともに宮仕えする女房たちの境遇や悩みに触れ、様々な「女人の哀しみ」を物語に織り込んでいく。一方、道長は彰子の子である敦成親王を東宮とすべく、暗躍し――。香子の人生の変動とともに、『源氏物語』「下若菜」~「総角」の帖を執筆する様を描く、圧巻の大河小説。
感想・レビュー
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mitubatigril
12
三巻を読んでから1冊他の作品を挟んだだけだったからか記憶も新しく引き続き勢いよく読み進める。 源氏物語部分は本編が終わり宇治十帖に入っている。 迷いなく入っていってちょっとびっくり。 なんとなく一連の流れが出来ていて、式部の信頼出来る女房仲間の1人が主に筆写してそれがまた別の女房が写しの繰り返しでリアタイで作品を読んでいたのは仲間の女房で主人の彰子は写されてその写しをまた一段と丁寧な筆跡の女房が立派な紙で写本を作り献上してるから遅れ気味で読み道長に至っては一応読んでる感じにリアリティを感じる。 2024/04/17
ekoeko
1
柏木、思いを残しながら長く生きる人生より思いを遂げた短い人生の方が良いに決まっている、なんて自分勝手・自分本位。本人は満足かもしれないがそんな思慮で残された人々はたまったものではない。光源氏に同情。光源氏の余生がどうなったかはそれぞれが考えてよい、ってつまり二次小説?だからって宰相の君のはいただけない。2024/04/20
Qfwfq
1
権謀術数をめぐらせ益々繁栄する道長周辺。一方身内の不幸に見舞われた紫式部。一見磊落に見えて、心の内に憂き心を抱えていた弟の客死をも執筆の糧として物語を書き綴る。光源氏の息子・夕霧を中継ぎとして、まさに若き日の光源氏と頭中将が物語を創り出したように、孫・匂宮と息子・薫がこれからの物語担っていく。光源氏の血を正しく(笑)受け継ぐ好色さを表向きは自制している匂宮。自らのルーツに悩みを抱えながら成長し、根っからの生真面目さが拭いきれない薫。殊に草食系男子・薫と余りにも頑な大君の恋の攻防が、なんとも歯痒い第四巻。2024/04/19