生と死を分ける翻訳 聖書から機械翻訳まで

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生と死を分ける翻訳 聖書から機械翻訳まで

  • ISBN:9784794226976

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内容説明

その翻訳、機械まかせでいいですか?
AI翻訳時代におくる、
翻訳・通訳の本質を学べるいまこそ読むべき一冊!

いまでは機械翻訳が発達し翻訳が身近で手軽になりましたが、歴史を振り返って見ると、
聖書の布教、第二次世界大戦、冷戦、そして『千夜一夜物語』やボルヘスなどの作品翻訳…と、
翻訳・通訳者は数多くの命にかかわるような歴史の重大局面にかかわってきました。
表舞台には出てこないそれらの者たちによる時に自身の命をかけた、涙ぐましいほどの努力、
創意工夫、勇気によって、これまでの平和や文化の発展は支えられてきたのです。
本書から先人の知恵を学び、翻訳の本質を理解しておけば、翻訳に人間が介在する重要性が理解され、
未来の機械翻訳との付き合い方もおのずと分かります。
現役の翻訳者ならではの視点でスリリングに語られる、今こそ読みたい翻訳と通訳の歴史と未来の物語!

■本書のトピック
・フルシチョフが執拗にくり返す「クズマの母親」とは誰なのか?
・雪の降らない土地で、宣教師が聖書の『雪のように白く』を『菌のように白く』と言い換えてもいいのか?
・ヒトラーやムッソリーニなどの独裁者の通訳は一般人のそれと違うものなのか?
・通訳のしかるべきサービス化のための制度が必要なのでは?

「翻訳できない作品は存在しない。存在するのはただ、まだ翻訳者が見つかっていない作品だけだ」
「「世界が深刻な危機に瀕した状況においては、翻訳(通訳)という行為そのものが
激しい文化衝突として歴史の表舞台に立ち現われる。そこでは、訳語の選択一つで歴史の天秤が傾いてしまう」
「翻訳の可能性の広がりを最も顕著に示す例は、意味の多義性から生じる。それは、呪いであると同時に祝福でもある」
(本文より)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

103
日本人翻訳者の書籍は多く読んだが、英語とロシア語の翻訳者である著者の世界観の大きさには圧倒される。終戦時に鈴木貫太郎首相の「黙殺」がignoreと訳された例や、キューバ危機で、ケネディ大統領がblockageではなくquarantineを使った例など臨場感あふれる話題満載。正に、翻訳一つで世界史の生と死が分かれる。七十人訳聖書からAI機械翻訳まで、苦難の歴史を垣間見ることができる。それにしても「Dancing on Ropes」という書名を「生と死を分ける翻訳」とした本書の翻訳者は、苦労しただろうなあ。2024/08/13

榊原 香織

89
普段黒子の通訳者にライトを当てる。 フルシチョフのロシアの諺、ベルルスコーニのジョーク、トランプの暴言、など通訳者を悩ませた数々。 歴史的現場に立ち会った人々やオスマントルコのドラゴマン。 トランプの”shithole countries"は各国悩んだ。台湾の”鳥不生蛋的國家”は美しく訳しすぎ 著者は英語→ロシア語の翻訳者2024/07/14

taku

15
邦題が指すのは、例えば序章の鈴木首相発言。ここは思うことが多い。原題からすると国際政治の場などで通訳することは、タイトロープ上で踊るようなものか。常にバランスを保つのは容易じゃない。異なる言語を等価にするのは様々な難しさがあり、誤訳はときに物議を醸したり大きな影響を与える。通訳者、翻訳者のエピソードから、この職業は芸術性も必要なんだろう。外交関連の話が興味深い。発言者の意図を汲み取るには、通訳者との関係も大事。AI翻訳の進化は、人の力をプラスして更に高品質になってくれたらありがたいことだね。2024/12/09

hitomi

14
読友さんのレビューを読んで。タイトルが原題と比べて大げさかなと思いましたが、読後、翻訳次第でそういうこともありうると考え直しました。外交や裁判などでの翻訳(通訳)の話がメインかと思いましたが、サブタイトルにあるように聖書や機械翻訳についての記述もあり、さまざまな分野をカバーしています。ホルヘ・ルイス・ボルヘスと、彼の専属翻訳者ディ・ジョヴァンニの話がとても興味深かったです。残念なのは、本書の訳者のあとがきがなかったこと。翻訳についての本を翻訳するのは大変だったと思うのですが、その辺りのことが知りたかった。2024/10/26

Shun'ichiro AKIKUSA

9
露英翻訳・通訳を生業とするジャーナリスト。そのため、事例も英語・ロシア語にかかわるものが多く紹介されている(これは私の関心と重なるのでありがたい)。中央アジアのグレートゲームにおける通訳の果たした役割、義和団事件にまきこまれた通訳などなど。訳文もかなり配慮のいきとどいたものですばらしいと感じたが、訳者解説がないのが残念。謝辞を訳すくらいなら著者周辺についての情報がもう少しほしい。2024/06/12

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