鬼の橋

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¥825
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鬼の橋

  • 著者名:伊藤遊/太田大八
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 福音館書店(2024/03発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784834027396

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内容説明

平安時代の京の都。妹を亡くし失意の日々を送る少年篁は、ある日妹が落ちた古井戸から冥界の入り口へと迷い込む。そこではすでに死んだはずの征夷大将軍坂上田村麻呂が、いまだあの世への橋を渡れないまま、鬼から都を護っていた。歴史上の人物、小野篁の少年時代を描いた第3回児童文学ファンタジー大賞受賞作、待望の文庫化。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mura_海竜

92
人との繋がりなど多くのことが濃縮されている。心に訴える。全8章から構成。実在の主人公 篁(たかむら)、平安時代の京都。妹を自分のせいで亡くす。橋を守る少女と出会う。父の作った橋。鬼が出てきてあの世でも話が展開。とても抽象的なファンタジー、物語はシンプルだけと、色々なことに汎用。父、母、家族、鬼、坂上田村麻呂。怒り・喜び・想い。鬼であった「非天丸」が人間に変わってく。大切な「橋」の意味することは何なのだろう。ふりがなが振られていて小学生上級生から、ぜひ読んでほしい本。図書館本。電車の中でレビューを書く。2016/10/28

がらくたどん

67
京の五条の橋の上(今の松原橋だそうです)で牛若丸と弁慶が出会うずっと前。時は平安。うだるような暑さの中、橋下に死体累々の五条橋の真ん中で後悔と憂鬱を目いっぱい背負いこんだ少年小野篁は貧相だが滅法気の強そうな少女に出会う。当時の京都はまだ小さくて橋の向こうは盗賊と鬼や魔物の棲む所。でも篁少年にはどうしても橋の向こうに行かねばならない理由があった。小野篁の冥府通いの伝説を下敷きに、闇が深く鬼が擦れ違う距離に居た都を舞台に少年が自分や家族の胸中に潜む邪鬼に傷つきながら「子ども」の時を脱いでいく姿を描く冒険譚。2023/05/08

seacalf

65
文武両道、書も詩歌も上手い。昼は朝廷に出仕し、夜は地獄で閻魔大王の補佐をしていた等々伝説に事欠かない、小野篁。彼の若かりし頃を描いた和製ファンタジー。序盤ではまだ頼りない篁をはじめ、登場人物達の心情を描くのがとても上手い。読友さん達が絶賛するのも頷ける。この作品の肝である阿子那と非天丸がすごくいい。異質であるものの最たる象徴である鬼、その鬼にすら何ら偏見を持たず真心にだけ反応して慕う阿子那の姿に心を打たれる。鬼であることの悲しいさがに抗い懸命に悩み生きる非天丸もいい。児童文学ながら心を揺さぶる上質な作品。2020/03/21

たま

57
読メのご感想に教えられて。少年期の小野篁が死んだ妹のあとを追って冥界を訪ね、坂上田村麻呂や鬼の非天丸、孤児阿子那との交流を通して心を癒やされ成長していく。未熟で嫌味な少年が責任感ある若者へと成長する過程、非天丸が人間らしい感情を取り戻す過程が説得力豊かに描かれ読み応えがあった。鬼は日本文学の源泉、私たちに身近な超自然、今日なお鬼のイメージが持っている力を感じさせられた。読書感想文コンクールの課題図書だったようで、子供たちの感想が想像できて楽しい。成長した篁の話も読みたい。2023/05/16

かんらんしゃ🎡

41
小野篁ってあんた、参議篁だって言ってくれりゃすぐ分かったのに。「わたの原八十島かけて…」の人だろ。「わたの原」2枚もあるからややこしてかなわねーよ。ところで閻魔さまと顔見知りなんだってねえ。いつかそっちへ行った折りにはよろしく頼むわ。で、子供の頃の話だろ。言いたいこと言えず悩んでたって。男ってなテレもためらいもあってさ、特に思春期なんて皆そんなもんよ。いろんなもん背負って生きてるのよ。ま、大人になりゃ言わいでもの事まで言っちまってよ、遠くへ飛ばされるって事もあるからね。今から悩むことねーよ。2023/07/15

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