内容説明
心優しいあひるさんは、雨のなか外にいるにわとりさんに傘をかしてあげたいけれど、うちに1本しかない傘をかしたらお母さんが困ってしまいます。心優しいあひるさんを描いた表題作をはじめ、川に落ちたまねぎさん、あごひげをなくしたライオンさんなど。愉快な動物や野菜たちが泣いたり笑ったり怒ったり、にぎやかな17編を収めた童話集。読み聞かせはもちろん、お子さんがはじめて自分で読む童話としてもおすすめです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
57
村山さんが「子供之友」に多くの作品を発表したのは、戦争真っ只中の暗い時代です。それにもかかわらず、動物や野菜が主人公のこの作品集は明るくおおらかで、戦争の影は全く感じられない優しい世界。上品で古風な言葉使いが何とも言えません。ナンセンスなオチは今読んでも十分面白いですよ。お試しあれ。2018/01/03
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
41
動物や野菜がでてくる17個の小さい話。ほのぼのとしているけれどユーモアなお話で、山口マオさんの絵がピッタリ。時代を感じる言い回しも楽しい。2023/10/15
ぶんこ
36
動物さんたちの交流も面白いし、野菜さんたちの交流も新鮮で楽しい。こんな可愛いお話が戦時中に書かれていたのが驚きです。著者のみずみずしい感性が素晴らしい。人参、玉ねぎ、じゃがいもは我が家の常備野菜。思わず話しかけてしまうかな。楽しい絵本でした。2018/02/11
mm
17
作者の村山籌子さんは、同郷の方。大きな薬屋さんのお嬢様で、戦前に地元の女学校を出た後自由学園に進まれているので、さぞかしハイカラでモダンな方だったのでしょう。子どもの心情にとても寄り添ったお話でした。悲しくなるのにも、おかしくなるのにも、怖くなるのにも、ちょっと大人とは違ったところでスイッチが入ってしまう子ども心を思い出しました。2014/11/13
のこ
13
動物と野菜の面白おかしい話17編。…野菜?■どのお話も初出が古めなので(1927〜1938)、表現がとても丁寧です。身になる話もあれば、「ちょちょ、ちょっと待って!」と一言物申したい話まで様々。でも教訓なものが多いかな。今までに読んだことのない、新しい童話でした。■ニンジン、ジャガイモ、タマネギの出番が多く、1930年代もその野菜を使うことが多かったのかな、と思いを馳せました。大根の出番も多いなぁ…。2014/02/06