内容説明
ぼくの父親は、かつてサッカーの英雄だった。でも八百長の疑いをかけられ、追われるように国を出た。今11年目の帰郷を果たしたその姿は、ぼくの目にはみっともないワニとしか見えない。……乳飲み子だった自分と母親とを“置き去り”にした存在に、どうしても心を開くことができない主人公の少年。けれど、地元チームが宿敵を迎える伝統の一戦をいっしょに観戦した夜、ふたりの気持ちの通い合いに劇的な変化がおとずれる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
バジルの葉っぱ
1
このお話、もしかして作者は、最初お父さんを普通に人間で書こうとしたのでは…と思いました。子供にとって、ずっと離れて暮らして慣れてない大人の男の人というのは、いくらお父さんだよと言われても、きっとゴツゴツして臭くて近寄りたくない生き物だもの。そうかいたらあまりにもリアルでお父さんがかわいそうだからユーモアのオブラートにくるみワニにしちゃったんだ、と…。で、「ぼく」がきらいな他の大人の人も、ついでにカワウソとかダチョウにしちゃったんだよ、きっと。 まぁおもしろければなんでもいいけど。 2010/01/22
にま
0
主人公の少年が父親を受け入れていく過程がとても自然に描けていたと思います。主人公目線で描かれていたので、それがとても分かりやすく無理がない感じでした。登場人物が動物の姿で出てくるのも効果的だったと思います。こんな風にわかりにくい感情を分かりやすく書いてあるのって大事♪2010/01/20
わかな
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表紙画を見て、なぜワニとサッカー?!?と違和感を感じてしまいました。でも、読んで納得!無駄なく表現された主人公の気持ちに共感でき、最後の数行でうるっときました。挿絵もとてもイイです。長男に読んで欲しい内容でしたが、サッカー音痴の彼は物語冒頭のサッカーの試合場面が突破できるかどうかにかかっていると思います。2009/10/09