内容説明
1966年、イングランド。少年バートラムは、「ゆびぬき小路」の仕立屋のおばあさんが縫いつけたふしぎなボタンを手に入れたことから、時間をさかのぼれるようになる。おばあさんは、先祖伝来の5つのボタンを、これはと思った5着の服だけに縫いつけていたのだった。ボタンのむすびつける人と人との時間が、見事なタペストリーのようにつづれ織りにされていくタイム・ファンタジー。野間児童文芸新人賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マッピー
17
全然知らない作家、知らない作品でしたが、とても面白くて、すごく得した気分です。日本人作家の作品ですが、読んでいるとスーッとイギリスの街並みに入っていきます。引っ越してきたばかりの街で、不思議なことに出合うバートラムが主人公。古着屋や古道具屋のあるゆびぬき小路の奥にある、偏屈な仕立屋のおばあさんと知りあったことから謎が始まります。仕立屋はなぜ、ひとつだけ違うボタンをつけるのか。ボタンはバートラムに何をさせたいのか。正直言って、結末は地味です。でも、すごく大切なメッセージが込められた作品でした。2024/02/19
シュシュ
15
「トムは真夜中の庭で」のように時空を行ったりきたりするストーリー。様々なしかけが面白かったし、頑固な仕立て屋のおばあさんが最後まで頑固な雰囲気を通したのもよかったし、主人公の少年バートラムがこちらに戻れなくなるんじゃないかという展開も、しっかりとハラハラさせられた。この本は日本人作家にしては珍しく翻訳の児童書のような味わいがあるのだが、作者の小風さちさんは、松居直さんの長女だということで納得。 2015/05/30
ake7🍀 ゆるんだ人からうまくいく
11
「いいかい、着心地ってものは、仕立てにゆとりがなけりゃだめなんだ。糸のしめ具合、引き具合、とめ具合。あの仕立てなおされた服は、機械でもって息もつかずにずんずん縫われるばかりで、見栄えはいいが、ゆとりがないのさ」「…そして仕事というのは、自分にとっていちばん大切なものを使うことなんだとね」「…愛情や、忍耐や、努力のことさ。仕立てに使うわたしの時間と、仕立て屋として生きてきた、すべての時間のことさ」大量生産で儲ける社長が、自分の会社の製パンは孫に食べさせない会長や、薬を飲まない製薬会社社員の話と重なった。2023/05/01
おはなし会 芽ぶっく
6
読書会【北海道子どもの本の集い事前学習会】2016/07/12
ばしちゃん
4
いい!これはいい!ゼヒ小学生に読んで欲しいです、ええ!本好きの男の子なんかに読んで欲しい。いや、サッカーばっかりやってそうなんだけど実はこんな本読むんや的なギャップ男子とか←アホな妄想(  ̄▽ ̄) 時間を遡るお話に男の子的なワクワクが入っている。偶然が必然で、お話の世界がきちんとできあがっている。いやぁ、愉しかった(⌒‐⌒)2016/06/08