愛着トラウマケアガイド - 共感と承認を超えて

著者名：岩壁茂/工藤由佳

金剛出版（2024/03発売）

• ISBN：9784772420228

内容説明

幼少期に虐待やネグレクトなど不適切な養育環境を過ごして発達課題を達成できなかったがゆえに生じる「愛着トラウマ」は、自分の考えや感情に自信がもてず、他者を信頼できずにコミュニケーションを回避するなど、生活の質（QOL）を低下させる要因にもなりうる。しかし自己と他者への信頼を培いながら愛着トラウマを癒し、相談者自身が望む人生＝生活を歩むことは決して不可能ではない。

心のケアに携わる支援者には、相談者が安心して心の内を打ち明けられるアタッチメント対象となり「安全基地（Secure Base）」を提供することが求められる。相談者の心と境界（バウンダリー）を守り、その怒りに深く共感し、相談者を承認していく姿勢、それと共に変わりゆく相談者の主体性・自律性の回復をサポートする「セキュア・ボンディング（Secure Bonding）」アプローチを紹介する。
第I部「愛着トラウマケアを理解する」では、愛着トラウマを癒すためには欠かせない「3つのセオリー」（アタッチメント理論・行動変容ステージ理論・アサーション権）、そして「安全基地」を提供する「セキュア・ボンディング」アプローチを紹介する。続いて第II部「愛着トラウマケアを実践する」では、安全基地の提供、治療的アセスメント、そして面接室の外の世界で人間関係を築いていくための戦略を、詳細な逐語録とともにわかりやすく解説する。最終第III部「愛着トラウマケアを研究する」では、相談者目線も取り入れながら、事例を通して愛着トラウマケアを学んでいく。

愛着トラウマに苦しむ相談者と、その変容と回復に連れ添う支援者のための、事例と逐語でわかりやすく学べる「トラウマケアガイドブック」。

目次

推薦の辞／ピーター・フォナギー
監修者序文／岩壁 茂
本書の読み方・使い方

第I部　愛着トラウマケアを理解する
　第1章　愛着トラウマを癒す――「3つのセオリー」
　第2章　安心をもたらす面接技法――安全基地を提供する「セキュア・ボンディング」
第II部　愛着トラウマケアを実践する
　第3章　相談者に安全基地を提供する――中立的な鏡から絶対的な味方へ
　第4章　治療的アセスメント――支援者は問いかけ，相談者は気づく
　第5章　“冒険”への同伴――思いや感情を相談者と一緒に伝える
第III部　愛着トラウマケアを研究する
　第6章　事例でまなぶ愛着トラウマケア――相談者目線でふりかえる

セキュア・ボンディングの開発過程
あとがき／工藤由佳

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ひろか]

あのフォナギー先生のところにいらっしゃるそーです。大注目。

2024/03/31

[okaching]

安全基地に相談者がなれるよう働きかけることは個人的には好き。自分の仕事柄、お客さんとは数回しか会わない以上、安全基地にはなり得ないな

2025/03/24

[ソーシャ]

P.フォナギーのところに留学している著者がセキュア・ボンディングという新しいアプローチを事例を交えつつわかりやすく紹介した本。1週間ごとを1年間という気の長いアプローチですが、「治療者を信用できないクライエントにどう介入するか」というテーマについて悩んだことがある人なら、読むと得るものがあると思います。（ただ、このアプローチの対象者にはいわゆる境界例の人とかも含まれていると思うのですが、距離感が近すぎる人にやったら危ないような…）

2024/04/29

[Go Extreme]

愛着理論:愛着理論 愛着スタイル 安全型 不安型 回避型 混乱型 自己肯定感 自己評価 トラウマ影響 対人関係問題 支援者:支援者の役割 セキュア・ボンディング 安全基地 絶対的な味方 共感的理解 自己開示 エピステミック・トラスト 承認技術 自分事の共感 境界の尊重 面接技法:治療的アセスメント オープンエンド質問 自己認識 感情表現 感情共有 ロールプレイ 傾聴技法 フォローアップ 自立支援 事例:トラウマ事例 回復プロセス 支援実例 心理的安全 家族面接 社会的支援 希望の維持 回復の道筋 PPI

2025/03/30

[ouosou]

dialogueできるようになるための技法と理解した。

2024/06/25