内容説明
「心」はいかにして生み出されるのか? 最先端の脳科学を読み解くスリリングな講義。脳科学の深海へ一気にダイブ!
ベストセラー『進化しすぎた脳』の著者が、母校で行った連続講義。私たちがふだん抱く「心」のイメージが、最新の研究によって次々と覆されていく──。「一番思い入れがあって、一番好きな本」と著者自らが語る知的興奮に満ちた一冊。
目次
第一章 脳は私のことをホントに理解しているのか
第二章 脳は空から心を眺めている
第三章 脳はゆらいで自由をつくりあげる
第四章 脳はノイズから生命を生み出す
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
98
通院先の近くの本屋で購入した本 ええ?複雑な脳、単純な「私」の間違いでは…!?ほら…、単純直情(私の性格そのものだ…)というワードもあることですし。 しかし単純直情というものが脳内で作られるにはいろいろな複雑な工程を経ることが分かります。脳内で波のような脳波のムラがあることは割と驚き。それがバイオリズムだったり勉強のやる気スイッチだったりを作るわけだ…!あれ?これじゃ複雑な脳、複雑な「私」…?2021/10/23
アキ
88
脳科学とは、自分の脳が脳そのものを研究する学問。まさにパラドックスだが、これをリカージョンというらしい。解くことのできない世界のカラクリを解明したいというのも脳の持つ特徴。そして本当に楽しいのはその解明する過程であるということを、内容もそうだが、著者の姿勢に感じる。「進化しすぎた脳」と内容はかぶる事が多いし、もう10年前の本になるが、彼の専門領域にまで踏み込む内容もあり、より深く入り込むことが出来た。嗅覚と視覚の成り立ちと役割が印象に残った。あくまでヒトの目で「見ている」世界は仮の姿に過ぎないのである。2020/06/04
M
86
「直感」は、努力と訓練の賜物。「記憶の正しさ」はその事象に慣れているか否か。「知覚している世界」は可塑性を通じて後天的に形成されたもの。「ゆらぎ(ノイズ)」によって順応、適応ができる。2017/10/29
アナーキー靴下
75
脳だけ残して機械の体になりたい、可能なら脳もチップで生体パーツ完全リプレイスしたい、なんて思うも、本当に脳だけで大丈夫なんだろうかとドグラ・マグラ的疑念がよぎり本書を。内容は高校での講義だけど、高校生の一人が機械の体になりたい、って言ってくれているのもあり、まさに、な話にも及ぶ。心は脳だけに局在するよりは、全身と周囲に散在する、というのは以前『第1感』で読んだ「無意識」についての話と被る。フィードバック機構なしに心は有り得ない。荒唐無稽で実現不能な妄想でもひたすら思考に陥らせる犯人はリカージョンの悪魔か。2022/11/05
チャーリブ
54
「イケタニ」さんではなく、「イケガヤ」さんだったんですね…。『進化しすぎた脳』と同じく高校生への講義スタイルのままで書かれていて、とても読みやすいです。「吊り橋の上で告白すると成功率が高い」といったおなじみの脳ネタから始まって、脳と身体の関係、脳の作話、記憶と時間、「心」とは何か、生命とは何か、自由意志と自由否定、脳のゆらぎとベキ則、リカージョンなど脳に関する興味深い知見が満載。堪「脳」しました。ある構造さえあれば、生命や「心」が自然と創発されてくるという仕組みは、もう神技としか言いようがない🤯。○2023/02/03