たまたま、この世界に生まれて

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たまたま、この世界に生まれて

  • 著者名:須藤輝彦【著】
  • 価格 ¥3,960(本体¥3,600)
  • 晶文社(2024/03発売)
  • ポイント 36pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794974167

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内容説明

運命、この文学的なるもの
「運命とは、あえて大きくいうならば、人間の弱さと創造性に基づいた、本質的に文学的な観念なのだ」(本書より)──『存在の耐えられない軽さ』などの小説作品で知られ、長年ノーベル文学賞の有力候補に名を連ねながら惜しくも世を去った作家ミラン・クンデラ(1929 2023)。東と西、政治と文学、歴史と現在、偶然と必然のあいだを揺れ動く人間の運命を見つめ続けた作家の仕事を読み解く本格評論。第4回東京大学而立賞を受賞した博士論文を大幅改稿。

【目次】
序論 運命の星座
第1章 歴史の終わり、運命の終わり――『冗談』におけるメランコリー
第2章 成熟と小説――『生は彼方に』における自己批判
第3章 運命の皮肉、歴史の怪物――『ジャックとその主人』におけるアイロニー
第4章 世界と亡命――『笑いと忘却の書』における語りの視差
第5章 運命の様相――『存在の耐えられない軽さ』における偶然性
第6章 身振りと根拠――『不滅』における悲劇の散文化
第7章 「軽さ」を祝う――『無意味の祝祭』における反出生主義との対峙
結論 スターリンと天使
あとがき
参考文献
索引

【著者】
須藤輝彦(すどう・てるひこ)

1988年生まれ。日本学術振興会特別研究員(PD)。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。ミラン・クンデラを中心として、チェコと中央ヨーロッパおよび啓蒙期の文学・思想を研究している。学部時代はヴェネツィアに、修士時代はプラハに、博士時代はパリに留学。学術論文のほか、一般読者向けの読み物として、ルポルタージュ「燃えるノートルダム」(集英社新書プラス)、「あいまいなチェコの小説家」(webゲンロン)、「批評の復習」(『文学+』WEB版)など。訳書に、モラヴィア美術館編『美術館って、おもしろい!』、アンナ・ツィマ『シブヤで目覚めて』(いずれも河出書房新社、阿部賢一との共訳)。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かもめ通信

15
博士論文を大幅に改稿し、著者自ら10年以上にわたるクンデラ研究の集大成と位置づけた本書は、メランコリー、アイロニー、世界文学、反出生主義……等々、クンデラ作品と「運命」と作家クンデラその人の思想と結付けながら展開されるボリュームはもちろん内容もかなりの重さで読み応えたっぷりの1冊。とりわけ興味深かったのは「第4章 世界文学と亡命」。この論考を踏まえて、ぜひとも『笑いと忘却の書』を読まねばなるまい。2025/03/31

Go Extreme

2
クンデラと運命観: 運命に対する疑問ー運命観が物語の重要なテーマ 相反する極の意識ー相反する二つの極を意識→スリルを生む 偶然性と必然性の対立: クンデラの世界観 運命の多面的な様相: 愛や死の問題ーチェコと中央ヨーロッパの歴史的困難反映 社会主義の挑戦ー20世紀の社会主義の実験やその失墜 古典的な運命観: 西洋文学における運命 クンデラ作品の分析: 小説『冗談』の構成 小説『生は彼方に』の運命観 クンデラ研究の発展: 研究の歴史:ー1990年代から本格化・作品の背景やテーマについて独自の視点が増えている2025/01/25

ヤマニシ

0
「暗号と解釈が結びつく詩という場所に、運命が生まれる――つまり運命とは、あえて大きくいうならば、人間の弱さと創造性に基づいた、本質的に文学的な観念なのだ。」(p350)2024/05/12

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