繭の中の街

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繭の中の街

  • 著者名:宇野碧【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 双葉社(2024/03発売)
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  • ISBN:9784575247190

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内容説明

歴史の中で多くの出会いを見届けてきた神戸の街を舞台に、様々な形の出会いと別れを描く傑作短編集。ある時は運命的な男女の出会いを、ある時は破滅的でさえある恋を、またある時はパラレルに存在する神戸での不思議な邂逅を描く。読後感も、時にはジャンルさえも全く異なる独立した物語である一方で、それらは確かな繋がりを持ち、それぞれに響き合って作品世界を美しく彩る。読み終わった後、必ず誰かと語り合い、分かち合いたくなるような魅力に溢れた1冊。

『エデンの102号室』
大学受験に失敗し、モラトリアムに生きる布珠は、異人坂でどこか浮世離れした男性、シンと出会う。博識な彼に日に日に惹かれていく布珠は、ある日、シンの部屋で書きかけの神話を見つける。

『let’s get lost』
目まぐるしく変わっていく、どこかで見たような視界。あるいはどこかで聴いたような世界。そのなかでかつてあった大切な存在について想いを馳せる、一人の男性の物語。

『つめたいふともも』
就活に苦戦する大学生の明彦は、兄の知り合いである美羽という女性と偶然知り合う。磊落な美羽に心の癒しを得る明彦だが、やがて彼女に隠された重大な秘密を知ることになる。

『赤い恐竜と白いアトリエ』
ガントリークレーンの操縦士である左巴は、刹那的で衝動的な生き方をしている。そして、彼女の働く会社の傍のコンテナには、ただ白い絵を描き続ける一人の画家が棲んでいた。

『秋の午後、神様と』
九歳の「わたし」は、さびれた神社で覇気のない神様と出会う。

『プロフィール』
かつて地上に棲む人間と分かたれた、翼を持つ一つ目の種族が存在する世界で、港湾労働者として苦役する足守大地は彼のプロフィールに興味を持った一人の≪一つ目≫と邂逅する。

『待ち合わせの五分前(おわりとはじまりの詩)』
初めて出会う相手との待ち合わせに向かう五分前を、街が見守っている。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

konoha

47
神戸を舞台に幻想的な雰囲気の中にも人間の業のようなものが描かれる。若い時に誰もが通り過ぎる痛み。それが鮮烈でヒリヒリとした気持ちになるが、読後感は淡く切ない。繭のような部屋に住む男性に恋をする「エデンの102号室」は神戸の歴史を紐解くミステリアスな恋愛小説。「つめたいふともも」の美羽と祐介、「赤い恐竜と白いアトリエ」の左巴の生々しいエネルギーが圧巻。「プロフィール」はSFっぽく哲学的。一つ目の女性が労働者の大地と出会い、言葉を覚えていくやりとりが良い。こんなに気持ちを動かされた本は久しぶり。2024/04/20

雪丸 風人

18
不思議な雰囲気を纏う短編集ですね。なかでも『つめたいふともも』の読者を惹きつける力がやばかった!就活でつまずき自信を失っていた若者が、思わぬ出会いで人生の岐路を超えていく筋書きにはトコトン魅了されましたよ。この話ではトンデモ兄貴のアドバイスが妙に的を得ていて思わずメモ。掌編ですが『秋の午後、神様と』では、真剣な小学生相手に雑なやりとりをする中学生の姿が見事にツボに。SFは苦手なのですが、そうした要素が混じる作品や、狂気じみた話でも目が離せなくなるほど。もう、完全に術中ですよ。(対象年齢は14歳以上かな?)2024/04/06

17
神戸の街の至る所が切り取られ、そこで起きている物語を丁寧に描写していて、読んでいて心地よかったです。一つの話から派生したエピソードが連なっていきます。 [つめたいふともも][プロフィール]が特にドラマチックで好きでした。 リアルとファンタジーが合わさったような風変わりなシナリオが、日夜神戸のどこかでおきているのかもしれません。 それとも、繭の中に作られた、神戸に似た別の街なのか・・・ そんな不思議だけれど、充実した読後感です。2024/04/05

meg

11
ほわほわっとした、一見繋がりのない、でも実は繋がっている短編集。神戸の街を舞台に、ファンタジー感強めの物語たち。悪くはないけど良いとも言えない。「レペゼン母」のぐいぐい読ませる感じとか「キッチンセラピー」の癒やし系に見せかけて実は骨太なとことか、宇野さんのいいとこどこ行った?と思ってしまった。(逆にこの本は新境地ということなのかもしれないが。)2024/04/14

t miya

9
こんなにも、作品ごとに雰囲気が変わるのも珍しい。どうしてもデビュー作が良すぎて、比べてしまう。神戸を舞台にした短編集。全体的にファンタジックで、少し物悲しい雰囲気。後半理解できない部分が多く、読み飛ばしてしまった。うーん、期待していただけに残念。2024/04/13

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