内容説明
2019年に突如として現れた新型コロナウイルス感染症は瞬く間に世界中に蔓延し、世界の風景を一変させた。この新型コロナは社会科学研究に対してどのような影響を与えたのか。経済学、政治学、社会学、法学分野における研究者の研究成果、および社会科学者を対象とする調査から、社会および社会科学に対して与えた影響を考察する。
目次
はじめに:パンデミックの中の社会科学者
第1章 パンデミックにおける社会科学の役割とその変容[加藤晋,田中隆一]
1.はじめに
2.社会科学の歴史と社会的ショック
3.パンデミックと社会科学
4.おわりに
参考文献
I 情報と信頼
第2章 国民の政治意識の変遷[ケネス・盛・マッケルウェイン,澁谷遊野]
1.はじめに
2.コロナ関連の政治課題
3.研究方法
4.結果
5.考察・結論
参考文献
第3章 政府要請による社会的信念の変化[加藤晋,飯田高,石田賢示,伊藤亜聖,ケネス・盛・マッケルウェイン]
1.はじめに
2.データおよび方法
3.アナウンスメントの効果はあったのか?
4.アナウンスメントに効果があったのはなぜか?
5.おわりに
参考文献
第4章 パンデミック初期のSNS利用と人々の行動[庄司匡宏]
1.はじめに
2.不確実な情報の拡散事例
3.リスク回避行動における情報アクセスの重要性
4.パンデミック初期のオンラインアンケート調査
5.分析
6.本研究で明らかになったことと残された課題
7.長期化するパンデミックへ向けて
参考文献
第5章 信頼される「専門家」の特性[近藤絢子,ケネス・盛・マッケルウェイン]
1.はじめに
2.調査の説明
3.専門家に対する信頼度についてのRFSE
4.推計結果
5.まとめ
参考文献
II 健康と家族
第6章 パンデミックと主観的ウェルビーイングの軌跡[石田賢示]
1.問題の所在
2.コロナ禍における主観的ウェルビーイング
3.東大社研若年・壮年パネル調査
4.調査データから見える主観的ウェルビーイング水準の変化
5.生活状況により異なるコロナ禍の主観的経験
6.この研究を通して考えた「変化」の見方の変化
参考文献
第7章 パンデミックの若者・家族への影響:中学生と母親の追跡調査から[藤原翔]
1.問題の所在
2.用いるデータとリサーチクエスチョン
3.子どもと母親の心理的ディストレスの推移
4.暮らし向きの変化
5.子どもと親の関係性の変化
6.新型コロナウイルス感染症対策の類似性
7.結論
参考文献
第8章 ソーシャル・ディスタンス政策のメンタルヘルスへの影響[瀧川裕貴,呂沢宇,稲垣佑典,中井豊,常松淳,阪本拓人,大林真也]
1.はじめに
2.社会関係とメンタルヘルスに関する先行研究
3.データと方法
4.分析戦略
5.調査結果
6.考察
参考文献
III 社会と制度
第9章 パンデミックと司法制度[齋藤宙治]
1.はじめに
2.コロナ禍と裁判所─司法統計から
3.コロナ禍と民事裁判IT化
4.おわりに─コロナ禍から見た司法制度
参考文献
第10章 国際保健法の遵守確保:管理,制裁,報奨[中島啓]
1.はじめに
2.管理と制裁
3.報奨
4.おわりに
参考文献
第11章 パンデミック下の雇用創出[川田恵介]
1.はじめに
2.雇用創出
3.職業紹介業務統計
4.“因果効果を測る”枠組み
5.“余剰を測る”枠組み
6.まとめ
参考文献
第12章 高等教育におけるオンライン授業の価値評価[エリック・ウィース,田中隆一]
1.はじめに
2.コロナ禍における文部科学省と高等教育機関の対応
ほか