中公新書<br> ナチ親衛隊(SS) 「政治的エリート」たちの歴史と犯罪

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中公新書
ナチ親衛隊(SS) 「政治的エリート」たちの歴史と犯罪

  • ISBN:9784121027955

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内容説明

ヒトラーの護衛に過ぎなかった親衛隊は、ナチ政権発足後、党や全国の警察組織を掌握。強制収容所を創り敵対勢力を弾圧する。第2次世界大戦開始後は行動部隊、アウシュヴィッツなどの絶滅収容所を起動しユダヤ人の大量殺戮を主導、80万人の巨大な軍事組織・武装親衛隊も併せ持った。本書は、ヒトラーに最も忠実な「エリート」たちの選抜から、ホロコーストの実行、カルト的信仰、戦後の姿までその全貌を描く。解題・芝健介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

144
なぜヒトラーは多くのドイツ人から絶対の崇拝と忠誠を得たのか。その個人的魅力もあろうが、何より部下の能力を見抜く人物眼にあった。典型例が28歳で親衛隊トップに就任したヒムラーであり、若輩の自分を高い地位と権力に抜擢した総統に絶対の忠誠を誓い、親衛隊をナチの政治エリート集団と位置付けることで独裁者直属の実力部隊を作り上げた。総統とナチ党防衛のためなら一切が許されるとの傲慢さが暴走を生み、警察と一体化して強制収容所やユダヤ人絶滅を主導するに至った。そんな過去はあれ有能な人材だからこそ、戦後も復権できたのだろう。2024/05/18

trazom

121
無知を白状すれば、私は、SS(親衛隊)とSA(突撃隊)の違いも、親衛隊と国防軍やゲシュタポとの関係も、何も分かってなかった。その意味で本書の整理は有難い。ドイツ人の著者は、数多くの人物を顔写真入りで論評しているが、私は、ヒトラー/ヒムラー/ハイドリヒ/ゲーリング/ヘースなどの代表的な人物しか知らず、著者による新事実や新解釈を読み取る能力がないのが申し訳ない。反ユダヤ主義の実行部隊として機能した親衛隊。「我々に罪はない。親衛隊がしたことだ」と、親衛隊をアリバイとする戦後の論調を批判する著者の良心に救われる。2024/07/01

skunk_c

85
ドイツの研究者による親衛隊の歴史をコンパクトにまとめたもの。突撃隊が肥大化し、ヒトラーの手に余るようになる中、徐々に「ヒトラーに忠誠を誓う警護隊」から成長、ナチの中核的組織になっていき、ホロコーストなどにかかわっていく様子が描かれる。ヒムラーの果たした役割は大きいほか、その他のリーダーも写真入りで紹介。戦後親衛隊を断罪する裁判についても記述があるが、その難しさも垣間見ることができる。アレントのアイヒマンに対する評価には厳しい見方をしている。ヒトラーの時代を理解するために読むべき本の一冊と思った。2024/04/18

HANA

68
ナチスの中でもひときわ暗いイメージを喚起する親衛隊(SS)。本書はその発生から戦後までを通史として扱った一冊である。従来親衛隊はナチスの中でも選び抜かれた思想エリート的なイメージがあったが、人手が集まらず徐々に入隊基準が緩くなる等は初耳。占領地下での多民族の抹殺やホロコーストといった行動は他のナチズムを論じた本と共通しているが、本書の特筆すべき点は戦後の元親衛隊の行動と独逸人がそれに対してどう接したかが詳しく書かれている点か。特に接し方が「ドイツ国民のアリバイ」として成立したという点は興味深いものがある。2024/05/04

みこ

37
ナチの象徴ともいえるSSについてドイツの史学者がまとめた一冊。絶対的な権力を背景に暴走したイメージがあったが、割と初期から暴力的な面が見られた。ユダヤ人排斥や純血主義を掲げているのに勢力拡大のために入隊基準が徐々になし崩しになるなど矛盾というよりも野望のための暴力装置という印象が固まる。ヒトラーの私兵ではないがそれでも一部の上層部が多くの人を動かし、さらに多くの人を死に至らしめた人類の狂気を忘れてはいけない。2024/05/01

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