内容説明
三千冊の本を載せて走る移動図書館「本バスめぐりん」は、今日も巡回先へ本を届けつつ、屈託を抱えた利用者たちの心を解きほぐす。縁もゆかりもない土地で一人暮らすことになった七十代の女性の、本と共に歩んできた半生を描く「本は峠を越えて」や、十八年前になくしたはずの本が見つかったことを引き金に当時の出来事が明るみに出る「昼下がりの見つけもの」、本と人との出会いを守る図書館司書として働くことへの熱意や矜恃に胸を打たれる「未来に向かって」など、全五編を収録。めぐりんが本と人々を ぐ移動図書館ミステリシリーズ、第2弾。/解説=紅玉いづき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
35
三千冊の本を載せて走る移動図書館「本バスめぐりん」との出会い。巡回先へ本を届けつつ屈託を抱えた利用者たちの心を解きほぐしていく第2弾。悩みを抱える人々が出会った移動図書館「めぐりん」とささやかな謎。本と共に歩んできた半生、十八年前になくしたはずの本が明るみにした当時の出来事、本好きと知って話しかけてきた同じ会社の人、突然引っ越してしまった友人、隣市の移動図書館廃止の真相。普通の図書館とはまた違ったスタッフと利用者の距離感や、利用者同士にも思わぬ出会いや再会があったりで、穏やかで優しい物語になっていました。2024/04/10
カブ
30
「本バスめぐりん。」の続編。読むのがちょっと楽しみでした。期待通り、ほっこりするようなミステリ短編集です。買って読むのか、借りて読むのか、本の楽しみ方は人それぞれ。それでも、本にまつわるお話はやっぱり引き込まれます。図書館司書ってなってみたかったな。2024/04/30
mayu
22
本バス「めぐりん」は2週間に一度巡ってくる移動図書館。シリーズ二作目。本×日常ミステリーがじんわり沁み渡る感じで好きだなぁ。実際にある本が沢山出てくるから本好きからしたらたまらないのでは無いだろうか。本バスをきっかけに縁ができていくのが素敵で、あっという間に読み終えてしまった。毎月の新刊購入が止まらないし積読も中々崩せずにいるので図書館に行く事が無い。移動図書館も下北でチラリと一度見かけたきり。そんな私でも読むと図書館に足を運びたくなる様な本愛に溢れた一冊。2024/04/11
NAOAMI
13
各章の視点人物が「めぐりんと私。」というお題でエッセイを書いた?そんなタイトル。移動図書館めぐりんを通じて人と人が繋がり、同じジャンルに惹かれたり、何かのきっかけを得たり。人生に人それぞれ思い悩むこと、日常で上手くいかないことに対し、めぐりんは2週間おきにやってくるので進行もそんなテンポ。悩むにしても解決するにしても、その位のスピード感が程良き。隔週の来訪、しかも短時間滞在に合わせて寄り付く人々は当然みな本好きで、その純粋な喜びに出会うだけでも楽しい。少しシリアスな〆章の解決策に図書館事業の未来を感じた。2024/04/29
きょん
11
移動図書館「めぐりん」第二弾。戦後まもなく図書館のない地域へ本を運んだ「自動車文庫」という存在を初めて知った。移動図書館の始まりを描く最初の章から最終章の過疎化と人口減社会に向かって、移動図書館ではなく人の移動に焦点を移していく時代の流れが描かれていて心に残った。2024/05/07