内容説明
母を亡くした小学校六年生の鳴海翔は、遠い町の祖母の家に預けられた。寂しさをこらえて新しい暮らしに慣れようとするが、そこには一筋縄ではいかない大人の世界があった――。万引きを奨励する母と暮らす大也、狭い家のなかで暴れる父に苦しむ美波、そして親から離れて暮らす翔。大人たちの身勝手さにもみくちゃにされながらも、三人はしだいに心を近づけていく。第12回ポプラ社小説新人賞特別賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よつば🍀
43
第12回ポプラ社小説新人賞特別賞受賞作。主人公の鳴海翔は母を亡くし、祖母の家に預けられた。そこで出会ったのは母親からネグレクトを受けている大也と、義父から日常的に暴力を受けている美波。まだ小学6年生の3人に対し過酷とも思える現実だ。ありがちな設定ではあるものの、彼らの日常にサーフィンが取り入れられている事で物語に深みが増していた。凪の日もあれば荒れ狂う大波の日もある。サーフボードを操る彼らと、日々の困難を乗り越えていく姿がオーバーラップして胸が熱くなった。終盤の展開が特にいい。穏やかな気持ちで本を閉じた。2024/04/18
信兵衛
21
孤立している状況はやはり厳しい。自分のことを思ってくれる誰か、心配してくれる誰かがいると信じられることが、どれだけ心の支えになることか。 でもそれは第一歩に過ぎません。 彼らが本当に成長する姿を見せるのは、守らなければいけない相手がいると気づくこと。それによって強くなり、成長することができるのですから。2024/04/13
雪丸 風人
18
圧倒的な共感を呼びそうな作品ですね。主人公は都会から来た少年と、地域のはみだし者の少年少女。大人に振り回されてきた彼らが、ともにかけがえのないものを見つけ、身を寄せ合いながら世間の荒波にあらがっていきます。サーフィンがつなぐ友情や意外過ぎる事件などに惹きつけられる物語でした。成長とともに変わっていく3人の行く末にくぎ付けになりましたよ。特に子が毒親の生き方に働きかける部分に新しさを感じましたね。目を覆うような虐待が描かれる瞬間もありますが、読後感は装画のように麗しいです。(対象年齢は13歳半以上かな?)2024/03/30
Cham
13
初読み作家さん。本屋で見つけた本。なかなか良い本でした。翔が預けられた祖母の住む八重浜町で、翔がサーフィンで出会った大也と美波。大也と美波は。。。という内容2024/04/07
meiko37
7
初読み作品さん デビュー作みたいてすね 母を亡くし、父と離れ、母方の祖母の家で、暮らすことになった翔 東京との違いに困惑する 田舎はいいことばかりではない。人の繋がりが強いのも考えもの でも、いいこともたくさんある 高遠さんの本がでたら読みたいな 2024/04/15