遠い町できみは

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遠い町できみは

  • ISBN:9784591181300

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内容説明

母を亡くした小学校六年生の鳴海翔は、遠い町の祖母の家に預けられた。寂しさをこらえて新しい暮らしに慣れようとするが、そこには一筋縄ではいかない大人の世界があった――。万引きを奨励する母と暮らす大也、狭い家のなかで暴れる父に苦しむ美波、そして親から離れて暮らす翔。大人たちの身勝手さにもみくちゃにされながらも、三人はしだいに心を近づけていく。第12回ポプラ社小説新人賞特別賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

J D

93
 子どもは、大人の犠牲者。親ガチャ。そんな言葉が頭をよぎる作品。ここに登場する3人の子どもたちは、人の温かさや厳しさを肌で感じながら成長していく。第12回ポプラ社小説新人賞特別賞受賞作。また、心根の優しい作家さんに出会えた。読み進めるのが辛くなるシーンもあるが、大人の責任として読み進んだ。これからが楽しみな作家さん。仙台市生まれ、宮城県在住らしい。2025/06/23

ゆみねこ

87
母を亡くし、心を病んだ父。鳴海翔は父・英一と離れ宮城の海沿いの町にある母の実家に預けられることに。寂しさをこらえ懸命に新しい暮らしに慣れようとする翔。同じクラスには家庭に問題を抱えた大也と美波がいた。身勝手な大人に振り回される3人の子どもたち。過酷な現実を乗り越えるキッカケはサーフィン。翔の父方の祖母に怒りを覚え、大也の母・リカに呆れ、美波の母と義父にもおぞましさを感じたが、3人がそれぞれの道を歩み成長してゆくラストは清々しくて良かった。高遠ちとせさん、初読み。第12回ポプラ社小説新人賞特別賞受賞作。2024/09/05

ウッディ

86
母が亡くなり、心を病んだ父の元を離れ、祖母と伯母のいる海辺の田舎町に移り住んだ小6の翔は、複雑な家庭で育ち、クラスで孤立していた大也と美波に出会い、サーフィンを通じて心を通わせていく。自分を取り巻く環境を代えられない子供のもどかしさや過去の過ちを許してくれない田舎の息苦しさの中で、ぶれない翔が格好いい。現実はこんなに上手くいかないかもしれないが、自分のことを信頼し、見守ってくれる友達がいれば、サーフィンのように、大波を見送り、自分に乗りこなせる波に立ち向かっていく勇気を与えてくれるのかもしれない。2025/08/22

mike

84
表と裏の装画がいい。3人の子の外見の変化に加えてその距離感が共に過ごした年月を物語っている。親に振り回され暗い日々を送っていた翔、大也、美波がサーフィンを切っ掛けに出会い距離を縮めて行く。誰にも頼ることができない孤独に押しつぶされそうな彼等だからこそ、自分たちにしか分からない絆が生まれたんだと思う。いつも一緒にいたくともいずれ別れは来る。でも遠くにいても3人の強い信頼で結ばれた心はいつも傍らにあると思う。藤野に会って急激に変わったリカ。願わくば東京での人々が彼女の現在だけを受け入れてほしい。2025/07/22

ナミのママ

80
家を出る日の朝、両親に見送られないなんて寂しい。そんな場面からスタートした本作。小学6年生の主人公、翔は都会から離れ海辺の街の祖母の家に預けられた。最初はあまり気乗りしなかったサーフィンだったがいつしか夢中になり、崩壊家庭のクラスメート大也と美波と友情を育んでいく。無力さや悔しさ悲しみを抱えながらも波に向かい成長していく姿がぎゅっと迫ってくる。ポプラ社の子供を題材にした作品は忘れていたものを思い出させてくれて優しい。ただ噂と人々のおせっかいが読んでいて息苦しく感じた。【12回ポプラ社小説新人賞特別賞受賞】2024/08/11

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