内容説明
娘の命を救うために不可能に挑んだ家族の物語。2024年6月、映画公開!
【娘の心臓に残された時間はたった10年――】
生まれながらに、心臓に疾患をもっていた娘は医師から、余命10年を宣告される。
娘の心臓に残された時間はたった10年。
何もしなければ、死を待つだけの10年。
これを運命だと諦めるか。抗うか。
町工場を営む家族は、『「人工心臓」をつくり、娘の命を救うという不可能に挑む』ことを決意した。
実話をもとにした感動のノンフィクション。
2024年6月14日(金)、映画『ディア・ファミリー』として公開されます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そる
211
映画のノベライズ本?かなり泣けたので映画は号泣かも。娘の心臓が悪くて治すには人工心臓しかない、じゃあ作ろう、ってなんの医療知識もない町工場社長のお父さん、その家族⋯カッコよすぎるのよ。お金がないと開発費もないし生きていけないと別のものを作り始めるけどもそれがまた泥臭くかっこいい。関わった人がまたいい人たち。「「いくら妹がいじめられていても、ひっぱたいちゃいけないよ」そんな馬鹿な、とまた頭に血が上った。「いじめた奴と私と、どっちが悪いの!先生はおかしいよ!」職員室に走って、今度は教頭先生に言いつけた。」2024/06/04
ちょろこ
120
一人よりも一人でも多く…の一冊。涙なくして読めなかった、心臓疾患を抱えた娘のために人工心臓の開発に取り組んだ夫婦と家族の実話物語。知識のない医療分野にがむしゃらに突き進む筒井夫妻には"あきらめ"という言葉はない。その姿に感動という言葉一つでくくるのも憚れるほど心を打たれた。ただ一人の娘を救うため、が、一人でも多くの人への一歩と変わる。悔しさと喜びの複雑な気持ちを逆に包み込むような娘さんの姿と家族にだけしかわらない想いが詰まった言葉に号泣。持って産まれた身体の奇跡と愛に一人でも多くの人に触れてほしい読後感。2024/07/16
エピファネイア
112
最近仕事で先天性心疾患のことを少し学んでいる。そんな時出会った本。重度の心臓疾患の我が子を助けるために人工心臓の開発に本気で取り組んだ両親の実話。両親はプラスチックを成形する会社を営んでいたが医療業界とは全く無縁。成形技術だけを頼りに娘を助けるとの一心で無謀とも思える人工心臓開発に挑む。努力と執念に頭が下がる。今は出生後すぐに手術ができるが、当時は9歳になるまで正確な診断すらできなかったらしい。人工心臓こそ実現しなかったが彼らが開発したバルーンカテーテルは現在多くの心臓病の子供たちを救っていることだろう。2024/04/14
☆よいこ
94
映画原作本。ノンフィクション▽生まれつきの心臓疾患を抱えた次女を救いたい一心で、町工場を営む社長は人工心臓の開発に熱意と資金を注ぐ▽アイディアマンだが昭和の金満社長の典型みたいな父親から継いだ町工場は風前の灯火だった。二代目社長の筒井宣政も父親に似て頑固一徹、初恋の人に押せ押せで結婚までこぎつける。病気を抱えた娘を救うために懸命に仕事をし、研究を重ねていく姿はとてもいい。昭和臭い社長の苦労話ぽいのをきれいに映画にされたなという印象。2024.4刊、文庫書き下ろし2025/04/20
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
79
(2024-100)もし子供が重い病気で余命10年だとしたら、借金をしてでも世界中の名医を探して治してもらおうとするだろう。だが、治療の術が無いとしたら?プラスチック加工技術があるとはいえど、小さな町工場の社長が挑戦したのが人工心臓の開発。医学の知識など全くない素人が、ノーベル賞級の大学教授らと開発に取り組む。残念ながら娘さんの生命を救うことはできなかったが、その技術の一部は初の国産医療用カテーテルとなり多くの人の生命を救うことになる。家族を救いたいと思う気持ちが高い障壁を乗り越えたのだと思う。★★★★2024/07/28