内容説明
◎1999年に韓国・仁川(インチョン)で実際に起きた火災事件を題材にした著者初の長編小説、待望の邦訳刊行
ミシン会社で働くサンスと敬愛(キョンエ)。お荷物社員の二人がチームを組むことになった。すれ違い、空回りしながら距離を探り合う日々。やがて互いの過去が少しずつ関係を変えていく。そんな中、チームはベトナムへの派遣が決まり、それぞれの思いを胸に新しい地を訪れるが――。理不尽な火災事件で親しい人を失い、亡霊のように生きていた男女の転機と再生を描く。
[目次]
空白はやっかいだ
E
あなたと私のお別れ
空っぽの心
殺人は恋愛のように、恋愛は殺人のように
冷えきった夏
あなたには妹がいますか?
痛みにも気づかずに笑っていた
雨粒が頭上に降り注いでくる
オンニには罪がない
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
28
仁川仁峴洞ビヤホール火災というのがあったそうだ。火災が発生した仁峴洞のビヤホールは5階建ての商業用建物で、地下にはカラオケ、2階にはビヤホール、3階と4階にはビリヤード場があった。内部修理中だった地下のカラオケで火災が発生し有毒ガスが上部の層に上がってしまい、3階と4階にいた人たちは、窓を破って飛び降りて負傷者が発生したが、死者は出なかった。学校祭が終わった後打ち上げをしていた高校生が集まっていたビヤホールで店の主人がお金を出せと言って出入口を防いだため多くの犠牲者が出た。主人は高校生たちを置いて逃げた。2024/04/26
メルコ
8
1999年韓国の仁川ビヤホールで56人が亡くなった火災事件が核にある話。ミシン会社で働くサンスと敬愛(キョンエ)はチームを組むことになるが、かみ合わない日々が続いていく。サンスはネットで女性のふりをして恋愛相談をしていて、敬愛も相談にのってもらっている。共通の友人が火災事件で亡くなっていて…。短編集「あまりにも真昼の恋愛」もおもしろく読んだが、こちらも社会的に重要な事件をベースに独自の物語を作り上げている。会社のお荷物社員的な2人が関係を築いていくのかと思ったら、一向にかみ合わない。相手の出方を伺ったり↓2024/11/21
じょじょ
6
読みきった自分偉いと思う。終始一貫して弱くて惨めで臆病だから自分勝手でイラつくサンスはある意味芯があると言えるかも(ムカつくと言うこと)。敬愛は最後まで掴めなかった。自分にはない価値観や行動だし 結局何を伝えたかったのかわからない。2024/07/05
nekomurice
4
「見知らぬ人どうしが同じ時間、同じ空間にいるためには、そんなことが無事に起こるためには、数えきれない幸運が重ならなければならないから。生まれて、大きくなって、食べて、事故から逃れて、耐えなければならない。何よりも不運を避けなければ。」2024/05/17
バーニング
1
『あまりにも真昼の恋愛』を思い出しような、内向的な心の繋がりを丁寧に掬い取った恋愛小説。過去のつらい経験や、自分を支えてくれた映画の数々など、思い出されるものの多さがかけがえのない今に繋がっていく。そして喪失だけではないのだ、と思わせるラストもよかった。美しかったとおもう。2024/11/27
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