内容説明
わたしたちが日々意識せずにおこなう「他者といる技法」。そのすばらしさや正しさだけでなく、苦しみや悪も含めて、できるかぎり透明に描くにはどうしたらよいか──。思いやりとかげぐち、親と子のコミュニケーション、「外国人」の語られ方、マナーを守ることといった様々な技法から浮かび上がるのは、〈承認と葛藤の体系としての社会〉と〈私〉との間の、複雑な相互関係だ。ときに危険で不気味な存在にもなる他者とともにいる、そうした社会と私自身を問いつづけるための、数々の道具を提供する書。
目次
序章 問いを始める地点への問い──ふたつの「社会学」/1 他者といることへの問い/2 ふたつの「社会学」/3 透明に描くこと/4 この本の構成/第1章 思いやりとかげぐちの体系としての社会──存在証明の形式社会学/1 はじめに/2 「原形」としての社会/3 「思いやり」という制度/4 「かげぐち」の領域/5 おわりに/第2章 「私」を破壊する「私」──R・D・レインをめぐる補論/1 はじめに/2 「戦術」──「私」を破壊する「私」/3 「状況」──第三のコミュニケーション/4 もうひとつの「状況」と「戦術」/第3章 外国人は「どのような人」なのか──異質性に対処する技法/1 メディアがつくるイメージ/2 「女性労働者」報道──「カワイソウ」イメージ/3 「留学生・就学生」報道──イメージの変容/4 異質性に対処する技法/第4章 リスペクタビリティの病──中間階級・きちんとすること・他者/1 はじめに/2 ふるまい、まなざし、中間階級/3 感情を管理すること/4 もうひとつの他者、もうひとつの病/第5章 非難の語彙、あるいは市民社会の境界──自己啓発セミナーにかんする雑誌記事の分析/1 「語彙」という問題/2 いくつかの非難の語彙/3 「過小な効果」と「過剰な効果」/4 「私」の編成とコントロール不可能性──技法の問題/5 「市民社会」の空間編成と境界──場所の問題/6 「過小な効果」論が示すもの──多様性の問題/第6章 理解の過少・理解の過剰──他者といる技法のために/1 はじめに/2 「理解」の構図/3 理解の「過少」/4 理解の「過剰」/5 他者といる技法のために/あとがき/ちくま学芸文庫版あとがき/解説 理解できないあなたの隣にいるために(三木那由他)
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