新潮クレスト・ブックス<br> ハルビン

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新潮クレスト・ブックス
ハルビン

  • ISBN:9784105901943

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内容説明

1909年10月26日、ハルビン駅。伊藤博文に凶弾を放った安重根――それは英雄でもテロリストでもない、悩める青年だった。大地主の家に生まれるも勉学よりも狩猟を好み、義兵部隊は日本人捕虜を解放したことでクビ。やり場のない怒りを抱え、凶行へと駆り立てられた青年の姿を描く、歴史小説の第一人者による話題作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

109
初代の韓国統監を退任した維新の元勲伊藤博文は一私人の建前で満洲視察に旅立つ。一方、妻子を残し故郷を出奔した朝鮮人青年安重根はロシア沿海州のウラジオストックから東清鉄道で西へ向かう。旅順の視察を終えた伊藤公を乗せた列車は大連から北上。両者の人生はハルビンで交差する。安重根は、特別列車からプラットフォームに降り立ちロシア兵を閲兵する伊藤めがけて儀仗兵の背後からピストルの引き金を引いた。著者キム・フンは二人の動きを淡々と綴る。二人の心情も描かれるので小説とわかるが、まるでドキュメンタリーのように進行する。⇒2024/08/20

岡本 正行

87
 自分の祖国を植民地にされた朝鮮人、安重根。当方が日本人だからといって、その暗殺の志、理解はできる。日本が占領されて植民地にされて、おりあらば、その首脳クラスを暗殺して国の復活を目指すのは、英雄行為とせざるを得ない。 朝鮮・韓国人は、激しやすい、激しにくとも、少しでも怒りの矛先を敵に向けたい気持ちはよくわかる。壮士というべきである。日本人なら義人佐倉宗五郎ぐらいだろうか、たくさんいるのだろうけど、いますぐは、それぐらいしか頭に浮かんでこない。安倍元整理を狙撃した人とは、まったく別である。国とか教団ではない2024/09/15

おたま

75
1909年10月26日、元朝鮮統監であった伊藤博文が、中国のハルビンで暗殺される。射殺したのは、元抗日義兵部隊の安重根(アン・ジュングン)だった。彼がどのようにして、ハルビンまで行き、伊藤を銃撃しようとしたのか、また銃撃後の裁判で何を語り、処刑にいたったのか、まるでドキュメンタリーのように丁寧に描かれた作品。安重根についてこのようにも詳しいことは初めて知った。そして、翌年「日韓併合」が行われている。大変複雑な状況の中での、安重根の行動であったことが分かる。2025/04/24

キムチ

75
バタフライイフェクトで「溥儀」を見た直後、図書館で見つけて。。クレスト選書❓珍しいと思いつつ、訳が蓮池氏という事も手伝い興が。幾つか「戦前における加害者としての日本人感情」について語りを見、何かしらを受け止められたらとも。案に違わず、日本語訳の堅苦しさは感じるものの読み易い。狙撃犯 安重根の生立ち、交友関係、出自と縁戚などと「左手人差し指の第2関節が静寂と平穏から一転する瞬間」まで、その後はさらっと。一族がキリスト教の信者という事実には驚く。事件後 安の一族への対応は冷淡だったが。筆者は韓国皇帝の上に冠→2025/02/10

たま

71
韓国小説ほぼ初読みの『別れを告げない』が良かったので、近刊の『ハルビン』を読んでみた。もちろん安重根による伊藤博文暗殺が主題だが、著者のキム・フンさんは暗殺の背景にある情勢にあまり踏み込まず、大連からハルビンに向かう伊藤、ウラジオストクからハルビンへと向かう安重根の行程をたどる。きびきびした筆致が二人の真っすぐな意志、真っすぐな行程と重なり、読みごたえがあった。ただ、そもそも私に韓国の歴史、社会の知識が乏しく、疑問もたくさん湧いてきた。そういう意味でも良い本だと思う。→2024/08/10

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