脳を開けても心はなかった - 正統派科学者が意識研究に走るわけ

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脳を開けても心はなかった - 正統派科学者が意識研究に走るわけ

  • 著者名:青野由利【著】
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 築地書館(2024/02発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784806716600

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内容説明

分子生物学、脳科学、量子論、複雑系、哲学、さらに最先端のAIまで、
意識研究の過去から近未来までを展望。

「意識」に代表される生命現象のすべては、物質レベルで説明できるのか。
意識研究に挑んできた世界の天才・秀才科学者たちの心の内を、
日本を代表する科学ジャーナリストがインタビューや資料から読み解く。

ノーベル賞科学者に代表される正統派科学者が、脳と心の問題にハマるのははぜか。
その理由から浮き彫りになる現代最先端科学の光と影。

目次

はじめに

プロローグ
1996年 DNAから心へ/1998年 超伝導から心霊現象へ

1章 20世紀の科学の勝利とほころび
1998年 意識は感染する/ノーベル賞の季節/青天の霹靂/20世紀の科学の象徴
19世紀末の物理学/量子力学の誕生/素粒子の発見/物理から生命へ
還元主義の全盛/ほころびる絶対観

コラム
シュレディンガーの猫

2章 ノーベル賞から「意識」へ
物質から神秘主義へ
シュレディンガー(1887~1961)
脳から二元論へ
シェリントン(1857~1952)/エックルス(1903~1997)
スペリー(1913~1994)/ペンフィールド(1891~1976)
新しい物理を
ペンローズ(1931~ )/ウィグナー(1902~1995)
科学から超心理学へ
カレル(1973~1944)

コラム
潜在記憶と顕在記憶/アインシュタインの脳

3章 哲学? いや科学で解こう
クリック(1916~2004)──視覚の不思議がカギを握る/コッホとゾンビ
エーデルマン(1929~2014)──免疫の仕組みをあてはめよう
利根川進博士(1939~ )──遺伝子で謎を解く/その後の利根川博士
コッホの「ロマンチック還元主義」/万物に意識が宿る?/トノーニの「統合情報理論」

コラム
見えないのに見えている/注意が立ち上がるとき/サブリミナル・カット
知覚的現在/さまざまな還元主義

4章 「AIは意識を持つか」論争
HALの誕生日/コンピュータは意識する/意識は説明された/哲学者と意識
サールの中国語の部屋/チューリング・テスト/ペンローズの分類/正統派と人工知能
クオリア/むずかしい問題とやさしい問題/「機械は意識を持てない」のはなぜか
下條さんによるAIの「意識」とは/土谷さんがみるIITの強みとは
25年ぶりにコッホに聞いてみた/アニル・セスにも聞いてみた/ガーランド・テスト
チャルマーズの問い/LLMに意識は宿るのか/「AIの意識」を認める未来は来るか
チャットGPTに聞いてみた

コラム
意識、心、精神/意識の階層/AIゴッドファーザーの懸念/意識研究者の派閥
25年前の賭けに勝ったのは?/「NCCの重要性は低下したのか」
意識研究の25年/「AIに意識が宿った」と主張したら/脳オルガノイドと意識

5章 複雑系は還元主義の限界を突破できるか
2021年 驚きのノーベル賞/1992年 複雑系シンポジウム/サンタフェ研究所
ゲルマンの不満/非線形から複雑系へ/新しい宗教?/複雑系とは何か
定義はしない/足し算してもわからない/新しい性質が創発する
還元主義礼賛とアンチ還元主義/第三の方法論/人工生命は生命か/意識は複雑だ

コラム
ヒトゲノム計画/福井謙一先生/紙とエンピツと頭脳/暗黙知と複雑系
散逸する複雑系/東洋思想への傾倒/理論屋と実験屋

6章 ノーベル賞科学者が意識研究に走るわけ
もともと意識を研究したかった/むずかしいほど血が騒ぐ
ノーベル賞をとったから、リスクを冒してもいい/単純な還元主義では解けないものへの挑戦
何にでも興味がある/はやり/脳を見ても心はなかった/免疫学者が意識に走るわけ
物理で生物が解けたのだから、意識も解けるだろう/意識の神秘は量子論にあり
観測者が未来を変える/決定論への反感/反量子論/統一論の魅力
神秘主義と直観/1999年夏 東京で開かれた意識の国際会議

コラム
日本人と一元論/湯川秀樹と朝永振一郎

エピローグ
意識研究の未来
おわりに
主な参考文献
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mim42

14
科学ジャーナリストの視点で編纂された意識の科学史。25年前の書籍のアップデートということで正直そこまで期待はしていなかったが、結果としては大変有意義な読書時間となった。前提知識が無い人でも楽しめそうな内容。メインテーマは「なぜノーベル賞クラスの物理学者が意識科学に転向するのか」であり、最近の意識科学という訳ではない。しかし、物理学者ならぬ哲学者のディヴィド・チャーマーズによるNeurips基調講演のarxiv原稿がサマリーされているなど、見所多数。著者と一流研究者たちの生の会話に基づいた記録は貴重だ。2024/04/01

チェアー

5
いま心のことを語るならば、チャットGPTや AIとの関係は必須だと思うのだが、それについては深く触れられておらず、もっぱら4半世紀前のインタビューや講演をベースに書いている。25年前の知見の上に無理矢理、今の話を言い訳のように載せるのではなく、新たに書き起こすべきだったと思う。 誤字もいくつか散見された。 2024/04/30

くらーく

3
四半世紀前の本なのですな。古さは感じないな。それだけ、この分野が進んでいないという事か? タイトル通りの事を、湯川秀樹が実施していたのは、初めて知った。遺言した母親と実施した湯川秀樹。両方とも凄いけどな。大統一理論のように、意識の理論化が出来るかどうかは、さっぱり分かりませんが、研究がこちらの方に来るのは分かるような気(気持ちですよ)がします。シンギュラリティまであと10年位?でしょうかね。強いAIが出来た時に果たしてどんな成果が出てくるのでしょうかねえ。生きていたとしても、わかんないだろうな、さっぱり。2024/04/25

古民家でスローライフ

2
ノーベル賞受賞者を含む多くの科学者が、なぜ「意識」という難解な問題に挑むようになったのか、その動機や研究の現状を、科学ジャーナリストである著者が豊富なインタビューと資料に基づいて深く掘り下げた一冊。人にはなぜ意識が存在するのか?多くの業績を残した科学者たちが最終的に行き着く疑問として、様々な分野のプロフェッショナル達が解明に挑む過程はスリリングであり、読んでいて楽しい。専門用語を避け、一般読者にも理解しやすいように、複雑な科学的な概念を平易な言葉で説明しているので、意識の謎に興味のある人にはおすすめ。2024/12/03

RX93

2
【意識研究の歴史・変遷や動向を解説。様々な研究者の言説についての見取り図】未知の神秘力?/科学で解く/AIは/複雑系は▼一元論(唯物論/唯脳論) vs 二元論-今の物理の延長かそれ以上の何かか▼要素還元では意識は解けない。そこで複雑系&創発性?(#創発とはいっても神秘的な何かではなかろう)。要素の相互作用という意味ではIITもそのひとつ▼最近: IIT, GNW, FEP▼「知性と意識は別物」(#意識は身体や思考を「制御」するためのもの?そこに知性はあってもなくても可)2024/06/18

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