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内容説明
父は一九二〇年代に来日した、日本語小説を書いた最初の朝鮮人で、のちに皇道思想家。戦後は心の病に冒され、六〇年にひとり帰国した――。父や母の歴史と子供たちの人生との間にはどのようにつながりがあるのか。本書は、ひとつの「在日」家族の誕生から終焉まで、そして、そのひとりひとりの生き方を、戦前から現在にいたる日本と韓国の関係と重ね合わせて描くことによって、新たな認識と洞察を読者にもたらす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
wei xian tiang
4
「在日韓国人の終焉」の鄭大均の、かなり挑発的な書題の半生記。一言も触れているわけではないが、やはり姜尚中のベストセラー半生記「在日」への茶化しなのだろうと思う。鄭の父についての叙述の中で、里村欣三の名が出てきて驚く。里村の「北ボルネオ紀行」を偶然手にして読んだ後、今日出海の「山中放浪」でルソンでの里村の戦死に出くわし、今回三回目の逢着。これは何かある。2016/03/05
ぽん教授(非実在系)
3
著者の家族の記憶をたどっていくという軸にそっているので総括し切れてるであろう父・母・兄については悟ってるように見えるが、妹についてはまだ著者は悩み続けているように見えたうえにこれからもそれを引きずりながら研究活動をしていくだろうと思われた。そこが残りの人生の目的だろうか。2014/05/19
undine
2
元在日韓国人としては穏健で客観的なものの見方ができる人物。著者の父親や自分のこと、母親や兄妹のことなどが抑制的な筆致で記述されている。最高裁にまで進んだ妹の裁判の件でも客観的に批判的に論じている。本が書かれた時期からかなり時間が過ぎたが、いままた多文化共生を隠れ蓑に変なことを言う人たちが増えてきた。この著者のようなスタンスで、今の歪んだ多文化共生論をきちんと批判してくれる人物の登場に期待したい。2023/06/25
貧家ピー
2
在日韓国・朝鮮人全体に関する考察かと思ったら、著者の半生を振り返る自叙伝。 個人的な体験と公の歴史認識と食い違いがあるだろうが、初めからそれを狙っている。 途中、父に関する記述がないが、父親の著作を読み、内容に触れて、自分の唱える論に類似点を見つけ、「血」を感じた件が印象的。 2007/01/13
wsmr
2
ナショナル・アイデンティティ 大島渚の「帰って来たヨッパライ」思い出した。 (「あなたは日本人ですか」「いいえ違います」)2009/08/04