内容説明
世界遺産にも指定された旧市街をもつストラスブールは、ケルト人の集落に端を発し、ローマ→ゲルマーニア→フランク王国と西ヨーロッパの典型的な文明を経験した。その後、ドイツ、フランスによる争奪が繰り返されるなか、ルネサンス、市民革命、ナショナリズム、世界大戦など、ヨーロッパ史を象徴する出来事をすべて体現する。寛容と自由、排他主義と戦火――もっとも壮麗にヨーロッパ史を生きた都市の歴史を鮮やかに描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
111
中公新書で都市の歴史ものが出るのは珍しいですね。それだけヨーロッパの中では歴史がある都市であったということなのですね。確かにラインのほとりにありむかしからフランスとドイツの支配を受けてきた、ということでしたたかな都市であると感じます。日本で言えば堺あたりなのかもしれません。その都市国家の歴史をじっくりと語ってくれていて、今まであまり注目してこなかったストレスブールという都市が身近なものになってきました。2015/11/23
こにいせ
6
これは当たりの新書。フランスとドイツの間で揺れ続けた、ストラスブールの歴史。前半はやや退屈だが、中盤にかけて加速度的に面白くなる。商業都市として成功し、財政・法体系・防衛を独立して獲得してきた自由都市が、フランスや神聖ローマ帝国をなだめすかして自主独立を通していくダイナミズムは面白い。一都市から透けて見えるヨーロッパの歴史。やっぱり歴史ってのは学ぶ価値があるなあ、と思わせる一冊。2010/04/12
epitaph3
2
知らずに買って、難しくて、流し読み。2013/12/19
nagoyan
2
優。西欧史の縮図のよう。大河ラインのごとき悠久の歴史ロマン。2009/11/05
ぽてと
1
ドイツとフランスの狭間にあって、どちらの要素も残しつつ、どちらでもないという特殊な位置にあるストラスブール。この本は一括りにされがちなアルザス=ロレーヌ地方の中でも北アルザスに焦点を当てている。 普仏戦争後にドイツに併合された後に様々な点で発展を遂げており、再評価されるべきというのが印象に残った。2015/06/21