内容説明
漫画史の空白、スタジオゼロとは?
トキワ荘に集った、藤子・F・不二雄、藤子不二雄A、石森章太郎、つのだじろう、赤塚不二夫たちが、1963年に設立したアニメ・漫画の制作会社「スタジオゼロ」。また、そのころ急成長する漫画界では、ちばてつややさいとう・たかをなどが活躍し、出版社の編集者たちもマンガに情熱を燃やしていた。
赤塚不二夫のアシスタントであった『釣りバカ日誌』の作者・北見けんいち氏が、
彼らとの交流を一人一人振り返る……
また、作者のマンガ家になるまでの道のり、『釣りバカ日誌』誕生秘話を、当時の編集者たちとの想い出も含め語る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
117
北見さんはトキワ荘を知らないそうだが、そこに集まっていた面々の下で修行を積んで直系の遺伝子を受け継いでいる。赤塚不二夫を筆頭に石森章太郎、藤子不二雄、つのだじろうに同じ満洲出身の古谷三敏、ちばてつやらとの交友や、当時どのように描いていたか、他人の作品を手伝ったりキャラを考えるのが当然だった梁山泊的なエピソードを楽しげに語ってくれる。石森の天才的な技術から豪傑揃いの編集者、加えて『釣りバカ日誌』誕生の経緯などは、長くマンガを読んできた者としては膝を打つ話ばかり。こんなワイガヤの中で戦後マンガは成長したのだ。2024/04/14
keroppi
77
「トキワ荘」とタイトルに入っているが、北見けんいちは、トキワ荘に行ったことはないし、漫画家になるまでそこにいた漫画家たちをよく知らなかったという。そんな彼が、赤塚不二夫のアシスタントとなり、様々な漫画家たちとの交流があり、「釣りバカ日誌」誕生までの話をざっくばらんに語りつくす。赤塚不二夫の有名キャラクターがアシスタントだった古谷三敏や高井研一郎が作り出していた話とか、スタジオ・ゼロ時代の話とか、実に興味深い内容がある。語られる漫画家たちがもうすでに亡くなられていて、こういう生の話が聞けるのも貴重なことだ。2024/04/19
ぐうぐう
40
タイトルが示すように、トキワ荘出身の漫画家達を中心とした交流を語る。しかし、本書がユニークなのは、北見けんいちがトキワ荘にまるで思い入れがないことだ。人気漫画家達のことをあまり知らずに漫画界に入ってきた北見ならではの視点が、実に独特で面白い。なにせ、赤塚不二夫を知らずにアシスタントになるのだから。とはいえ、そんな北見の屈託のなさが、のちにレジェンド漫画家達と親しい交流を構築するのに役立っているように思えるのだ。(つづく)2024/03/21
akihiko810/アカウント移行中
23
『釣りバカ日誌』の作者が語る、トキワ荘メンバー(師匠が赤塚不二夫)と、自身の出自。印象度A- 「釣りバカ」はあまり読んだことないのだが、面白かった。出版社に持ち込みにいくまで、トキワ荘はおろか赤塚不二夫も知らなかったという。トキワ荘レジェンド漫画家の中では、師匠の赤塚以外には藤子Aに可愛がられていたようだ。漫画家以外にも、壁村(少年チャンピオン)らマンガ編集者の話が滅法面白かった。小学館の林(ビックコミックオリジナル)編集長。石ノ森のアシ出身の天才だったが、漫画家にならず編集者になったひと2024/07/19
くさてる
21
トキワ荘、と銘打ってはいますが、中身は聞き語りの構成で語られる、漫画家北見けんいち先生の漫画家人生です。トキワ荘にいた先生方の教えを得た、というわけで「遺伝子」なのかな。下積みが長かった北見先生の苦労話は興味深くも面白いし、その先生が語る巨匠の皆さまのエピソードも楽しい。そこがあるからこそ「釣りバカ」で成功したくだりは、読んでいて嬉しくなりました。面白かったです。2024/05/06