内容説明
「それゆけ!アンパンマン」「手のひらを太陽に」の生みの親やなせたかし氏による、愛と勇気の人生論。戦争を経験した著者が考える、本当の正義とは。国民的ヒーローのアンパンマンが生まれた背景や、子どもたちから学ぶ純粋な心など、著者のものづくりへの姿勢や生き方、温かな人柄が伺えるエッセイ集です。 ●第1章 ボクと、正義と、アンパンマン ●第2章 子どもは先生 ●第3章 人生はよろこばせごっこ ●第4章 女の子・男の子 ●第5章 表紙の取れた本
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
97
やなせたかしさんの哲学だと思う。こどもたちを、変に子ども扱いせず、同じ目線で対等に考える。多少、難しいことでも、その根幹を感じ取ってくれるし、変な遠慮などなく判断してくれる。そして、こころ、精神の在り様を大事にする姿勢。初版が書かれて20年以上経過しているにも関わらず、今の時代に当てはまることが辛い。それだけ、世の中の在り方が変わらないどころか、憂うべき部分が濃くなっているのだ。アンパンマンのマーチ、よく味わって活かすようにしよう!2022/03/17
sayuri
72
やなせさんの温かい人柄が行間から滲み出て来るようなエッセイ集。2013年に94歳で永眠されたやなせさん。本作は、1995年に『もうひとつのアンパンマン物語』と題して刊行されたものを新装復刊した作品。優しいお顔が目に浮かんで来る前書きの後には「アンパンマンのマーチ」の歌詞が掲載されており、改めてこの歌詞の良さを実感する。「手のひらを太陽に」と共にずっと歌い継がれて欲しい楽曲だ。戦争を経験した著者から紡がれる事は胸に響く。『いちばんのよろこびはほかのひとをよろこばせること』読後はやなせさんをもっと好きになる。2022/03/01
へくとぱすかる
64
けっして威張らないで、遅咲きでも自分の仕事に打ち込んだ人柄が、そのまま文章になってあふれてきたようなエッセイ。大上段から振りかぶったような物言いではなく、長年の人生の経験から自然に語られたことばの方が、よほど身に染みる。そしてアンパンマンではないが勇気も与えてくれる。初版からほぼ30年後の新装復活らしいが、今こそ読まれる価値がある本だと思う。若い人に迎合できなくても、「古いおじいさん」としての作品を生みながら、世の中に受け入れられるというのはよほどのことで、やなせさんの個性だからこそ可能だったのだろう。2025/05/06
智湖@ベルばら同盟副会長
44
「正義の味方はカッコよくない。傷つくことを覚悟する。」「いちばんの喜びは、他の人を喜ばせること。」2022/08/01
がらくたどん
43
復刊待ってた本。こちらでお知らせ頂いて本屋さんに注文に走りました♪まとまったテーマのエッセイというよりは雑記集。昔の詩集に挟まってたリーフレットとか『詩とメルヘン』の編集後記とかでも、チョコチョコと読み手に語り掛けてくれたヤナセさん。とにかくマメに「一緒に楽しもう」を発信し続けた方だなとしみじみ思う。巻頭の「アンパンマンマーチ」は圧巻。子どもから大人まで、その年齢なりの愛と勇気が湧いてくる。山梨シルクセンターが出した詩集が本棚にある。「少年倶楽部」体質のまま成人した大正生まれの伯母からのプレゼントだった。2022/03/23