内容説明
現役文部科学副大臣の学校改革私論。
国会議員きっての教育通と言われる鈴木寛・文部科学副大臣は、いわゆる“文教属”と言われたかつての“教育通”とは全く異なる、新しいタイプのオピニオン・リーダーだ。
その最大のものは、これまでの「成長社会」を支えてきた中央集権やトップダウンの力に取って代わる、民意や現場の実際を反映したインタラクティブな力を用いて、「成熟社会」を形成していこうという感覚だ。
通産省の官僚経験もある氏は、むろん数字に根ざした現実設計にも強いが、東大、早慶などで教鞭をとった経験から、教育現場に対する深い愛情と若い世代に対する強い共感を持ち、実際の文部行政においても多くの若者を起用。若いパワーを用いて、夢を実現化していこうという理想を抱く。
最近も、文部科学省のホームページ内に「熟議カケアイ」と呼ぶ教育目安箱を立ち上げたが、その制作にも若い力は大いに活用されている。
マルチな才能の議員が、「成長社会」までを支えた古い日本の構造を仕分けて、未来の日本再生を熱く語る本書は、教育や経済の予言書にとどまらず、これからの「成熟社会」の原理を提案する設計図としての役目も果たすだろう。
(底本 2010年9月発売作品)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
一木
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・教育改革のベース ・モダン(近代)の大量、大衆などの「マス」からポストモダンの「パーソナル」「インタラクティブ」 ・地域の核としてのコミュニティスクール→対話、周知を集める熟議 ・マスティーチング(一斉指導)からセルフラーニングと創造的協働学習 ・一人ひとりに合わせてアレンジするオーダーメイド教育→先生は、プロデューサー、デザイナー ・教師は医者と同等→新しい学びに対応する教師づくり ・学習履歴をチームで共有作成 ・いつでも学力状況を調査できる理論とテストメソッド、方法の確立→一斉からのパラダイムシフト2015/10/24
コミさん
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かなり前に読んだのであまり覚えていないが、熟議の大切さがわかった。
ITかくめい
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内容が軽く、字も大きい。「熟議」の研究書としてはあまり役に立たない。鈴木寛の熟議の思想体系を理解したいなら『熟議のススメ』(講談社)が良い。
Hideki Ishihara
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日本の教育を変えようと熱意を持って活動している若き政治家の主張がまとまっています。今は「悪平等」の緩和が課題だそうです。2011/11/30
KK
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10年前の本だけど、今読んでもさほど違和感がないことがこの国の教育の問題を物語っているようにおもう。 ただ、副大臣でもこんなエビデンスがない発言しちゃう…という部分も多々。2023/02/05